2013年12月10日火曜日

毎日 「猪瀬直樹の肖像」

昨日の毎日新聞の夕刊に、大宅賞作家3人が猪瀬直樹東京都知事を「猪瀬直樹の肖像」と題して、ボロクソに書いていた。私はこの3人のうち野村進氏の「コリアン世界の旅」を読んだ経験がある。「コリアン世界の旅」同様、なかなか鋭い洞察で、さすがだと思った。

野村氏が知るところによれば、猪瀬直樹という人物は一貫して権力志向が強かったと記している。野村氏が始めて会った時から、足立倫行、高野孟らのノンフィクション作家の中でも、相当威張っていたという。彼の知る猪瀬直樹は、偉い人に近づいて「大宅賞をとりたい。」「選考委員になりたい。」「東大教授になりたい。」と発言し、さらに小泉首相、石原知事に近づいては出世してきたのだと言う。子供っぽい欲望を隠さない人であり、普通の大人は恥かしくてあからさまにできないのに、彼は違う。自分を客観視できないのではないか、と。だから徳州会のことも、なぜこんなに大騒ぎになるのか分かっていないのではないか。誰が見てもおかしいのに自分ではわからないのだと記している。

この「猪瀬直樹の肖像」というタイトル、ミカドの肖像を揶揄している。萩原遼氏などは、このミカドの肖像の中で彼が描いた堤康二郎こそが、批判対象ではなく憧れだったのではないか、とさらに激烈にこけおろしている。彼らが何故そこまで猪瀬直樹を批判すのか。それは、彼らがノンフィクション作家だからだ。石川好氏は言う。ノンフィクションの基本は、正確な資料の提示である。そのイロハのイもわかっていない。借用書をはじめ、不確かな資料を提示したことが許せないのだ。

ノンフィクション作家としての猪瀬直樹の作品は面白い。私もかなりの数を読んできた。だが、その人物像は、野村氏の記すところでは、傲慢と野心そのものの人物であるようだ。こんな時、同じ作家仲間に護ってもらないのは、それこそ不徳のいたすところなのだろう。

ところで、最近、毎日新聞が頑張っている、と思う。右でもなく、左でもない中途半端なところが、私をして長らく毎日新聞を定期購読してきた理由なのだが、最近は地元の話でもはっきりとした正義の主張を展開している。モーニングで、日経や朝日、読売など様々な新聞を目にするが、このところ、毎日が一番すっきりしているような気がするのだ。

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