2011年5月5日木曜日

毎日新聞 木語 「処危不驚」

偶然手に入れた画像ですが…あまりに
このところ、毎日新聞には小気味の良いコラムが載っている。連休中、やたらブログを更新しているので、やめておこうかと思ったのだが、内容が内容だけに、是非とも記しておこうと思った。金子秀敏氏の「木語」である。タイトルは、『危に処して驚かず』である。要約と引用で紹介したい。

引退した中国の朱元首相が、時局批判の演説の中で「(日本の大震災では)小さな子供まで、危機に処して驚かずだった。民度は、基礎教育からしっかりとやらなければよくならない。」と述べた。中国では「処危不驚」という四字熟語でパニックにならない日本の国民性を表現する文章が目立つ。香港の評論家の陳夢施氏も東京で大地震を体験した。交通機関がストップしホテルまで5時間半も歩いたそうだ。車道は車で埋まっている。歩道は勤め先から徒歩で帰宅する人々で埋まっていた。しかし、誰もが横断歩道で信号を守っていた。のろのろでも車の列は動いていた。陳氏は驚いた。混乱の中でも社会秩序を機能させる国民性は、外国から高く評価されている。たしかに国民は「不驚」だったと思う。しかし政治の中枢はパニックになっていたのではないか。

想定外の原発事故で「東日本が壊滅する」と首相が口走ったとしても、そうとがめる気はしない。ただし、その後首相は国をまとめていくための求心力を作り出したのか。その記憶がない。米国なら大統領が国民に結束を呼びかける。国によっては戒厳令を発令する。

『東日本大震災でそれに相当するのは、3月16日の「天皇陛下のお言葉」だった。被災した国民と被災者を助ける国民が、ともに立ち上がっているというメッセージを内外に発信した。テレビニュースを見て、大震災発生以来、始めて安心を感じた。「天皇は日本国民統合の象徴である」という憲法第1条が浮かんだからである。国民が統合している状態にある、憲法秩序が機能していると感じたからである。けれども、憲法の精神は国民主権である。まっさきに国民の結束を宣言するのは、国会の議長と、国会で選ばれた首相だろう。地震からお言葉までの5日間、あるいはその後も、国会も首相も熟語でいえば「茫然自失」だったのではないか。』

コメントは不要かと思うほどだ。今日も関東軍の社長が罵倒され、土下座三昧の映像を見た。首相も被災地を訪問したようだが、どうしてもその姿(よく似た作業服姿)がダブる。我々が期待しているのは、お詫び三昧のような大本営のリーダーの姿ではないと思うのだが…。

0 件のコメント:

コメントを投稿