2011年5月19日木曜日

スワジランドへの嘲笑

スワジランドの話題が、SAPIOの5月25日号に載っているようだ。WEBニュースでは、面白おかしく書かれていた。『スワジランドでは伝統的に一夫多妻制が認められており、ムスワティ3世には少なくとも13人の王妃がいる。毎年、13歳以上の処女が胸を露にした伝統衣装を着て参加する「リードダンス」の儀式が行なわれ、国王は参加者の中から気に入った女性を新たな妃にすることが慣例になっている。妃に選ばれれば、宮殿と運転手付きの高級車が与えられるため、2008年の「リードダンス」の儀式には全国各地から、シンデレラを目指して7万人もの少女たちが集まったという。
http://www.news-postseven.com/archives/20110518_20409.html

3月1日付けのブログで、私もスワジランドの国王批判デモの話を書いた。上記の記事の前にも、そのことが書かれている。日本という近代国家から見て、その後進性、特に民主政治が行われていないこと、すなわち「人の支配」がいまだ行われていること、女性蔑視への批判などが、なんとなく読み取れる気がする。

たしかにそうなのである。近代国家論から見れば、スワジランドは、単一民族国家故に、国民国家ではあるかもしれないが、資本主義の発達、民主政治の発達といった側面から見れば、近代国家とは到底言い難い。だからといって、「今だにこんなことやってる。」と嘲笑することはいかがなものか、と私は思っている。(SAPIOの記事が嘲笑記事だとは言っていない。念のため。)歴史を学ぶというのは、そう言うことではないだろうか。
ヨーロッパは確かに世界的に、最も早く資本主義や民主主義を育んだ。しかし、短時間にそれを得たわけではない。長い時間をかけて、時には血を流し、暗中模索しながら確立してきたのである。日本だって、近代国家にすべく明治維新以降、様々な紆余曲折を経て、現在に至っている。とはいえ、私は、日本の民主主義は、欧米のように勝ち取ったものではなく、あくまでGHQによって、与えられたものだと理解している。しかも、たかだか60年である。日本は嘲笑できるほどの近代国家なのであろうか、嘲笑する前に、彼らと共生する方途を考える、そんな人間を育てたいと思うのである。

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