2011年3月29日火曜日

2011 JICA スプリングセミナー ②

G12で魚眼風に撮影
引き続きJICAのセミナー報告です。夕食を取った後、いよいよ研修員さんとの交流です。ここ2年間メキシコのIT関係の方々だったのですが、なんと今年もそうでした。おそらく何年か続けてのプロジェクトなのだと思います。メキシコの方はやたら明るくてフレンドリーです。今回もそうでした。本校の生徒達は、無茶苦茶盛り上がっていました。本校の英語科生は、日頃のコミュニケーション研鑽をしているので全く物怖じしません。まして今回は後輩の口の悪いI先生の選りすぐりのメンバーですから凄い。
研修員さんにお茶をふるまう
自己紹介で、後輩の口の悪いI先生は、スペイン語で挨拶。おおっと声があがりました。メキシコの研修員さんも大喜び。きっと彼はこそっと準備していたに違いありません。(そういう奴です。笑)私は、少しムカついたので(笑)フランス語で、ジュマペーレ…と自己紹介して笑いを取りました。後輩の口の悪いI先生とは、こういうB型同志の関係です。今回は、茶道部の生徒がいて、お湯をもらって茶筅でお茶をたてました。見る見るうちにクリーミーに泡立っていく様子に、メキシコ人もビックリで、熱心に覗きこんでいました。今回もなかなか楽しかったのでした。

中日のセミナーの内容を報告します。中日は、H先生による日本の貧困問題でした。昨年に引き続きです。今回も格差を感じる椅子取りゲームから始まりました。生徒をAチーム、Bチームに分け、ゲームの前に、両チームを集め、ルールを流します。Aチームは有利で、Bチームは不利な立場に置かれます。ゲーム開始後、どんどん椅子が減らされます。ゲーム後、この椅子取りゲームから、「格差」の構造にせまります。椅子は何を表しているのか。Aという紙が置かれた(Aチームしか座れない)椅子は何を表しているのか。無くなった(取り除かれた)椅子はどこへいったのか。グループ討議です。
「格差」を学ぶ椅子取りゲーム
昼食後は、「ビッグ・イシュー」という雑誌について、インタビュー形式のワークショップでした。「ビッグイシュー」は、イギリスの雑誌で、世界で発行されています。ホームレスの人々が駅などで直接販売しているものです。その日本版は大阪を中心に発行されています。この雑誌のライターさん、販売員さん2名に、グループから2名づつ3グループでインタビューに行きます。その前に、質問事項を討議します。実際のホームレスの人と話をするのは始めてのことだと思います。なぜホームレスとなったかといった突っ込んだ質問も当然あったようで、後でグループ内シェアリングを行いました。
私は300円の定価の中から160円が販売員の収入となるというシステムに驚きました。これは、イギリスの本社から送られてくる原稿を翻訳し、日本版の記事も入れて再構成していること。表紙のハリウッドスターらが撮影料を要求していないこと、当然ロイヤリティがないことなどで原価が抑えられていることと、販売員の支援が主目的というマーケティングの理論を越えたところに位置しているからのようです。ライターの方が、この「ビッグイシューの目標は廃刊です。」と言われました。多くの方がこの販売員から卒業して、自立の道を歩んでおられます。

さて、その後は,最終日の午前までグループごとの発表の時間となります。今回は、S先生の方から『キャンペーンをつくろう』という研究発表のコンセプトが示されました。今までにはなかったコンセプトです。S先生がうまく説明されたのですが、生徒の方はもうひとつ良く理解できなかったようで、私が担当したグループもなかなか決まりませんでした。S先生とまたまた話をしていました。「いくら優秀な生徒達でも1年生が多く、学校で実際組織を動かした経験のない生徒には難しいのでは…。」「そうですねえ。普通3時間くらい、キャンペーンのやり方について講義した上でやるべきですよねえ。」と言うことだった。私は、このキャンペーンという研究発表、非常に面白いと思います。訴えたい事がよほどしっかりしたものでないといけないし、そのための方法論もそこから生まれます。ポスターやロゴ、パフォーマンスなど拡がりも面白いと思うのです。
実際の所、各グループが全てを消化しきれたとは言えませんでしたが、いつもながら素晴らしい発表でした。あの短時間でよくやったなあと思います。本校生は、スローフード推進キャンペーンや識字率向上のためのみんながつくる絵本キャンペーン、宗教の違いを認識しようキャンペーン、途上国の教育支援キャンペーンなどで主導的な役割を果たしてくれたようでした。めでたしめでたしです。

ところで、今回もメキシコ以外の研修員さんとの出会いがありました。これもJICAセミナーの魅力の一つです。レストランでエリトリアの研修員さんと出会いました。生徒が「何処ですか?」と聞くので、紅海の近く、エチオピアの北と教えました。彼は大喜びで握手を求めてきました。きっと自分の国をほとんどの日本人が知らなかったに違いありません。「内戦が終わって良かったですね。」と私が言うと、「いやいやあれは独立戦争です。」と彼は言いました。エリトリアから見れば、そりゃそうです。私は、「ある本で、エリトリアの人々は親切でやさいいと書いてあったけれど本当ですね。」と言うと、また握手を求めてきました。阪大にかよう院生だそうです。またフィジーの数学の先生にも会いました。ものすごく巻き舌の英語で「世界で最も朝が早い国ですね、」と言うと大喜びしてくれました。こういう地理的な知識は、異文化理解にかかせないものだと思います。さて、本校の生徒達は、バンバン研修員さんに声をかけて、「地球市民の記憶」を増やしてくれました。
また今回のセミナーでは、小さな子供が大阪国際センターにうろうろしていました。聞くと、東北で院生として留学していたエジプトの家族で、こちらに避難してきたらしいのです。震災の影響は、セミナーにも敢然とあったのでした。

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