2011年3月20日日曜日

秋田出張報告 その2

秋田市立秋田商業高校
秋田市立秋田商業高校は今年度、創立90周年を迎えた伝統ある高校である。スポーツも盛んで、硬式野球部は甲子園に何度も出場している。サッカー部やレスリング部なども有名らしい。なんか失礼だが、小林まことの漫画『柔道部物語』の岬商業高校を連想してしまった。学校で合った生徒諸君は、礼儀正しく、非常に好感をもった。事務所で来校を告げたら、まもなくしてO先生が来られた。実は、私はO先生に対し、これだけのことを中心的にやっておられるので、脂ぎった(失礼)野心的な(失礼)熱血の教師像をイメージしていた。ところが、極めて温和な紳士だったので、びっくりしたのである。しかもO先生は英語科の先生だった。これにもコケそうになった。英語の先生がアフリカに関してあれだけの内容ある本を書かれたという事実に驚いた。私は絶対、社会科の先生だと思っていたのだ。(英語の先生方に対し”上jから目線”で見ているのではない。念のため。)よく聞くと、O先生は、社会科の教員を目指していたこともあったとのこと。しかもアメリカ留学時に、アムトラックで一周した経験をもっておられる。また秋田県の高校生のアメリカ研修にも付き添われたり、JICAのガーナ教員研修では団長もされていたという。
さらにK先生も、挨拶に来ていただいた。K先生は英語の先生だと予想していた。これはそのとうりだったのだが、あんなにスゴイ秋田美人だとは思わなかった。転勤が決まって忙しい時に申し訳ない思いである。きっと、生徒をうまく乗せていく先生だと思う。少し話しただけでわかった。(後でO先生も「そのとうりです。生徒を乗せるのがうまいです。」と言われていた。)

国際協力班の学びの場・語学教室
この時の懇談と、その後のNGOの経営するカフェでの懇談で、さまざまなことが判った。秋田商業の「総合学習の時間」(週1時間)は、秋田商業高校を1つの商社としてAKISHOPというイベントを基軸に、さまざまなビジネスを企画・実践するために使われているのだった。「ビジネス実践・ユネスコスクール班」というのは、この時間に語学教室(後で実際に見せてもらった。)に集まり、国際協力課として、AKISHOPで、展示パネルで世界の貧困や飢餓について発表したり、フェアトレード商品を販売したり、山田耕平氏の「ディマクコンダ」のCDを販売したり(「ディマクコンダ」については2010年8月22日付ブログ参照)しているのである。私が買った『高校生のためのアフリカ理解入門』という本も、この「ビジネス実践」という商社・秋田商業高校がつくった「商品」なのであった。なるほど。私は、てっきりO先生が自分たちの実践を世に知らしめるため発行したのだと思っていた。この本、あくまで商品である。だから、もう3冊も発行されているわけだ。(高校生のための国際協力入門、高校生のための国際連合入門、そして高校生のためのアフリカ理解入門)

夜、これらの本に登場するユネスコスクール班の3人の先生方のうち、もう一人の若いO先生にお会いした。O先生は、「彼こそがエンジンなのです。」という謎のセリフを言われていたのだった。お会いして、それはすぐ判った。凄い青年教師だったのである。ちょっとTOKIOの城島に似ている。(笑)しかも科目は国語だった。真摯な目に私は魅せられた。一本通っている。学生時代にマラウイに行ったとこのことで、アフリカの体験談の交換で盛り上がった。さらに教育論になり、哲学論になった。ふと、私が聞いた。明治維新の人物で誰が好きか?と。若いO先生は、「吉田松陰と言いたいですが、やっぱり坂本竜馬ですねえ。」「O先生は?」「私は高杉(晋作)です。」なるほど。「先生は?」私は「勝海舟ですね。」と答えた。若いO先生は大きく頷いた。

秋田商業硬式野球部の栄冠
若いO先生は、「竜馬」というだけの漢(おとこ)であると私は思った。全くの白紙の状態から、この国際協力班を企画し、どんどん連携の輪をJICAやNGOや他の学校に広げ、エネルギッシュに進めている。今度はネパールに生徒を送る計画を熱心に語ってくれた。また、山田耕平氏のCDの話では、400枚のCDを買うから秋田に来てくれと交渉したという。凄い。「売れなかったらどうするつもりだったのか?」と聞くと、「その時はその時。自前ですよ。」と笑った。まさに竜馬である。しかも、彼は秋田商業高校硬式野球部の監督だったのである。なぜ昼間に学校で会えなかったか謎が解けだが、ちょっと待ってくれ、毎年甲子園に行こうかという強豪校の監督である。本来なら、それだけで十分すぎるほど大変ではないか。国語でのすばらしい授業実践も聞いた。熱心に指導しているのがわかる。そのうえにこんな凄いことをやっているのか。八面六臂の私心なき行動力。竜馬である。「いやあ、実務面はO先生に頼りっぱなしで…」との答え。…なるほど。

O先生が「彼こそがエンジンなのです。」と言われた意味がわかった。O先生は、実務面・会計面などをほとんど引き受けて黙々とやっておられていたのだった。だから、実務面の責任者としてこの国際協力班の中心者に位置しておられるのだった。しかし、O先生は、実はただの実務に秀でただけの方ではない。「高杉晋作」というだけの漢(おとこ)だった。例の「高校生のための…」シリーズの三冊の本を出版し、AKISHOPの商品とするにあたって、出版社と交渉し、詳しい数字は書けないが、かなりの額の自己出費を覚悟でGOサインを出した方なのだ。それを私に飄々と語っていただいた時、O先生の凄味を感じた。勝負の時に果敢に打って出る人なのだった。高杉である。

ならば、私は「勝海舟」にふさわしいのであろうか。竜馬と高杉の両先生は、私のアフリカ持論に何度もうなずいていただいた。私の『高校生のためのアフリカ開発経済学テキストV4.01』は、それなりの証となるのだろうか。両先生に比べると役者不足のような気がするが…。つづく。

秋田商業高校のHP http://www.edu.city.akita.akita.jp/~akisho/

0 件のコメント:

コメントを投稿