2014年5月22日木曜日

ボゴ・ハラム対策へ米兵派遣

毎日新聞の夕刊の報道によると、ナイジェリアの女子生徒捜索・救出のために米兵80人を隣国チャドに派遣したとのこと。
まずは、無人偵察機で情報収集するらしい。米議会やメディアからは、特殊部隊派遣を要請する声も強いとのこと。大軍を派遣するわけではないが、アメリカが大きく動き出したようにみえる。

昨日エントリーした内田樹・中田考の「一神教と国家」を読んでいると、イスラム原理主義がアメリカと敵対する理由がおぼろげながら判ってきた。

ボゴ・ハラムがそこまで認識しているのかはともかく、イスラムは、そもそもグローバルな存在なのだ。遊牧民的な伝統に裏打ちされたイスラムの人々は、シャリーアによって身体的に(反対に言えば内面以上に)助け合うことで生き延びてきた。オスマン帝国の解体後、欧州に植民地化され、国境が無理やり引かれた。欧米が作り上げた近代国家は、イスラムの対極にある。キリスト教的な個人主義から生まれた個人主義が民主主義と資本主義を発展させ、国民国家(=近代国家)となった。自己の富を、国家という規模で囲い込むシステムであるといえる。リヴァイアサンという偶像だと内田・中田は語り合い結論付ける。イスラム世界もも分割され、本来の構造を失い、国民国家化されてしまった。しかも、グローバル化というアメリカによるローカル化が進み、ますます格差が拡大しているという。イスラム原理主義がアメリカと対立するのは必定、というわけだ。

要約がすぎるかもしれないが、なるほど、そういう視点もあるな、と思う。

…ボゴ・ハラムのやっていることは、百歩譲っても暴挙である。ここで、威信を失いかけているアメリカが登場することも必要悪なのかもしれない。ただ、イスラム原理主義対アメリカの対立の構図がかなり見えてきた。中立的な立場で見ても、全面的にアメリカや欧米が正義だとは言い切れないと思うのだ。いままで構造的暴力という視点で見てきたが、イスラムやキリスト教の一神教理解と近代国家論の視点で見ることもあらためて重要だと思った次第。

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