2013年7月19日金曜日

終業式の日にデトロイト考

デトロイト市 20億$の負債で破綻 後方がルネサンスタワー
終業式である。大掃除を念入りにやってから、インターハイ出場生徒へ野球部がエールを送る。毎年恒例の終業式であった。いろいろとあった1学期だったが、明日から夏季休業に入る。

ところで、夕刊にデトロイト市が財政破綻したとのニュースが載っていた。デトロイトは、思い出深い街である。昔々、視察に訪れたことがあるのだ。デトロイトは、何と言っても自動車の街である。GM、フォード、クライスラーといったビッグ3の本社があった。自動車工業は集積型工業の最たるもので、機械工業、電気工業、ガラス工業、ゴム工業など様々なメーカーが集まっている工業都市である。一時、日本車に押され、雇用が一気に冷え、法人税や所得税などの税収が落ち込み、市民サービスに支障をきたすようになり、裕福な市民が逃げ出し、市内には貧困民が溜まっていった。ドーナツ化し、デトロイト郊外の衛星都市とダウンタウンの格差が開いたのだ。私が行った頃は、ちょうどダウンタウンの再生が進み、ルネサンスタワーが完成した頃だった。しかし、フォードの本社は郊外に移っていた。タクシーにも乗ったが、後にも先にもアメリカのタクシーで、防弾ガラスが設置されていたのはデトロイトだけだった。今回の財政破綻もほぼ同様の推移で起こったものらしい。

デトロイトでは、ほとんどがアフリカ系の生徒だという高校を視察した。語学を主体にした優秀な学校だったのだが、驚ろかされたのは、校門に設置された金属探知機と銃を持ったガードマンだった。聞くと、ナイフなどを持ちこむ生徒もいるのだそうだ。アフリカ系米人の生徒たちは、自分たちの未来に希望を抱いていた。あれから20年近くたつ。彼らはちょっと30歳代後半のはずだ。デトロイトの破綻という現実の中、どうしているのだろうか。他の地域に移動することは、アメリカ人にとってオレゴントレイル以来の国民性でもある。もうすでに、どこかへ移住したかもしれない。アメリカは広い。使える土地が多い。だからこそ、上手くいかなければ、それまでの土地を捨てて他所へ移ることは普通のことなのである。

これからデトロイトはどうなるのだろうか。どっこいまたまた再生するのかもしれない。そんなことを考えていたのだった。

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