2011年12月5日月曜日

開発経済学の「社会実験」

ホットドッグ+卵+ホットおかわり+Good service+日経=500円
このところ、朝のモーニングで日経を読むことが多い。一般紙にない思わぬ記事があったりして重宝している。その日経、今日はわざわざコンビニで買い直した。『経済教室 エコノミクストレンド』で、澤田東大准教授が執筆した「開発経済学 深化の原動力」という記事をとっておきたかったのだ。私にとっては無茶苦茶面白い記事だった。ちょっと、要約して見ると…。

開発経済学は、構造政策(輸入代替工業化政策など)の失敗で一時期衰退したが、近年「開発経済学革命」と呼ばれるほど深化している。現在、世界の経済学けん引するMIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学、エール大学では最も人気のある研究分野である。多くの若手研究者が次々に論文を発表している。中でも、「社会実験」によるエビデンス(証拠・根拠などの意)に基づいた政策形成という大きな潮流の出現したことが大きい。

MDGs(ミレニアム開発目標)の中でも普遍的な初等教育の推進は大きな位置をしめる。だが、MDGsでは具体的な政策手段は揚げられていない。就学年数を延ばすのに有効な政策は何なのか。そこで社会実験の活用が期待されるのである。

これまでの社会実験の成果を上げてみると、①メキシコなどで行われたCCT(貧困者への生活保護給付にあたって、子供の就学を条件にすること)②ケニアで行われた寄生虫駆除(虫下し)薬の投与③ドミニカ共和国で行われた、小学校最終学年の生徒を対象に、高卒・大学卒の平均賃金に関する正確な情報提供などが挙げられる。(その他ケニアでは無償学校給食の提供や制服配布なども実験されている。)

①のCTTは急速に普及したが、コスト面では大きくかかるようだ。②の虫下し薬の投与はなんと平均24%欠席が減少したが、コストは就学年数を1年延ばすのに$3.5しかかかっていない。③の情報提供では、平均教育年数が0.2~35%延びたという。

もちろん、国によって効果の差異があること(外的妥当性)や、③の情報提供が全国展開された際、効果が薄くなる(一般的均衡効果)などの問題はあるのだが、いずれにせよ、就学行動と政策の間の内部構造を解明する構造モデルを推定していこうという、いわば政策というインプットと効果というアウトプットの間にあるブラックボックスの内部を明らかにする研究が現在進んでいるのである。

京大の島田先生が勧めておられる「脆弱性」の研究(2月19日付ブログ参照)なども、この流れの中にあるのだろうと思ったりする。JICAの論文などを見ても、そういう政策と効果には徹底したモニタリングが行われている事は知っていた。この記事を読んで、これらの話がぱあっーと結びつき、目の前が開けたのだった。

ともあれ、私は教育の推進のために「虫下し薬が大いに役立つ」という事実に驚いた。本校が参加できなかったJICA大阪の高校生セミナー、テーマは「途上国の教育」である。前任校のU先生からメールがあった。前任校は参加できるそうだ。(よかった。よかった。)「何か知っておいた方がいい事ってありますか?」という質問に、「今日の日経を読むといい。」と答えたのだった。

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