2011年12月8日木曜日

真珠湾70周年の日に

真珠湾攻撃から70周年である。私自身はハワイに行った事はないのだが、アメリカ本土の航空博物館に行くと必ずと言ってよいほど、『リメンバー・パールハーバー』コーナーがある。あまり気持ちの良いものではない。少なくともそこでは、いつまでも日本はアメリカの敵国である。何度かこのブログでも書いて来たが、「過去を水に流す」のはあくまでもジャパニーズ・スタンダードである。

昔々私がまだ小学生だった頃、『トラ・トラ・トラ』という真珠湾攻撃を史実に忠実に描いた映画が上映された。見に行った先はOS劇場。今はもう死語になった”シネラマ”の大画面で見た。当時OS劇場という梅田の映画館は大阪No1の映画館であり、経済的に裕福ではなかった我が家では、オールナイトの特別料金で親父と2人で見に行った記憶がある。つまり、昼間仮眠をとり、徹夜で見て、朝帰りしたのだった。私のヒコーキ好きはこの辺がルーツである。

今から思えば、親父は海軍出身で、私を海軍的に育てたような気がする。「早飯・早グソ芸のうち」というのが口癖だったし、海軍(親父は航空整備兵だった。)の話を良く聞かされた。海上自衛隊の護衛艦の見学にも連れて行ってくれた。しかし、私が年齢を重ねるうちに、そういう親父のスタンスを批判的に見るようになった。私の年代は、シラケ世代の先頭であり、同時に左翼運動世代の尻尾くらいにあたる。私は学生時代は左翼ではなかったが、それ以上に右翼が嫌いだった。そんな年代だったといえるだろう。

だから、真珠湾攻撃は日本帝国主義の成せる愚行であり、東条はその首謀者であり、天皇には戦争責任があると、若干左翼シンパ的に感じていた。私たちの年代では、それがマジョリティだった。しかしながら、そんな私も50歳を過ぎて、それなりに現代史を学ぶ中で、真珠湾攻撃は、アメリカのオレンジ作戦に見事に嵌められた結果ではないかと思っている。誤解しないでいただきたいが、アメリカもまた対中政策で戦略的に国益を追求した結果であるとも考えている。歴史を善悪をもって見ていくと独善に陥りやすい。様々な立場の本を読んで自分なりの考えを持つようになるには、どうしても時間がかかる。

ちょうど今、NHKニュースで、ハワイの記念館では、当時の日本の状況も展示し、戦争の悲惨さを伝えながら、互いへの憎しみを生まない展示へと変化しているとの報道が流れた。アメリカの単純な正義意識は、そう変わらないような気もするが、とにかくジャパニーズ・スタンダードがアメリカで認められた。私はこの事実を歓迎したいと思う。

一地球市民としては、戦争は、あくまで国益のぶつかりあいであることを確認したい。国益を超克する地球市民は戦争を是としない。これが、50を過ぎて得た私なりの結論といえようか。そんなことを考えていた真珠湾70周年の日であった。

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