2011年1月10日月曜日

「ひょうたん島問題」を読む

ひょうたん島問題
  さて、そろそろ国際理解教育学会の『現代国際理解教育事典』の執筆に取り掛からねばならない。(10月14日ブログ参照)私など初めての経験なので、非常に不安なのだが、執筆依頼の文書に、「この執筆を通して会員の執筆力の向上云々」とあって、さらに「入稿に至るまでに、各章担当者とのやり取りを経て原稿を練り上げ云々」ともある。よって私は、現場の実践者として、国際理解教育学会の先達の諸先生方の指導を受けながら研鑽していこうと、素直に受け止めている。そう、この際本格的な学術論文のスキルを得たいと思っている。とりあえず、現在のところ、『シミュレーション・ゲーム』という項目だけであるが、まずは資料の収集から始めなければならない。

 この機会にと、年末にD女子大学のF先生の『ひょうたん島問題』を手に入れた。私の知る限り、最もまとまったシミュレーション教材であるからである。昔、ひょんなことからこの教材を知り、F先生が国立のT大学におられたころにCD-ROM版を手に入れた。後で、この作者がF先生であったことを知ったのであった。ちなみに、そのCD-ROM版は、現在3回生になるF先生のゼミ長を務めるOGのK君にあげてしまった。きっとESD研究の参考になると思い、あげたのだが、まさかこんなことになるとは…。で、新しく発表された第二版ともいうべき教材を手に入れたわけだ。
 国際理解教育のシミュレーション教材は、実はわりと多い。開発教育協会を始め、様々な国際機関やNGO・NPOなども出している。私も、そこそこ手に入れてある。とはいえ、学術的にもきちんとしたものとしては、まずF先生の『ひょうたん島問題』だと思うのである。

 この『ひょうたん島問題』を簡単に説明すると、自走することが可能なひょうたん島(寛容で、豊かな生活を営むひょうたん人が住む。ひょうたん文化という伝統を重んじている)が、北にあるカチコチ島(よく働くが自然に恵まれないカチコチ人が住む)、南にあるパラダイス島(熱帯の途上国的なイメージ、パラダイス人が住む)の中間地点に漂流し、両島から出稼ぎにカチコチ人、パラダイス人がやってくるところから始まる。①異文化コミュニケーション、②勤労に対する価値観の相違と社会問題化、③言葉や教育における価値観の相違と社会問題化、④多文化主義・多民族共生の社会問題化、⑤共生の条件といった、ESDの中でも、異文化理解を中心としたシミュレーション教材なのである。こういう説明では、あまり面白くなさそうだが、実際は、豊富なイラストで紙芝居的である。

 この本の凄いところは、そのシチェーションの理論的裏付けが極めて明確で学術的であることだ。第2章の理論編、第3章の資料編も極めて重要である。ESDの教育実践に興味のある方は、是非手に取られてみてはと思う。

 この『ひょうたん島問題』以外にも、『シミュレーション教材の開発と実践ー地理学習の新しい試み』という、だいぶ以前に購入した本も「定義、現状、課題、国際理解教育への言及」という原稿執筆大枠を考えると、大いに役立ちそうだ。(この本については、またいつか書きたい。)

 原稿の締め切りは2月末。着実に取り組んでいこうと考えている。

6 件のコメント:

  1. 『ベーシックインカムで大転換』の書評が完成しました。
    せっかく頂いた機会なのでと、内容にこだわっていたところズルズルになってしまい、申し訳ないです。

    コメントに載せるには長いのですが何か良い提出方法はないでしょうか?

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  2. 哲平さんへ。コメントありがとうございます。お疲れ様でした。ロゴス社という村岡さんの主催する出版社のメールアドレスは、logos@lake.ocn.ne.jpみたいです。ちなみにロゴス社のHPは、http://www18.ocn.ne.jp/~logosnet/です。ここが、ベストアンサーのような気がしますが…。

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  3. コメント欄に載せても大丈夫ということでしょうか?

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  4. HPの一番下のコメント欄に載せてもいいと思いますが…。投書もOKみたいだし…。私のPCは、アウトルックを設定していないので、この投書欄に進めませんが…。

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  5. たぶん提出できました!
    ありがとうございます!

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  6. お疲れさまでした。私もホッとしました。

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