2011年1月14日金曜日

「風をつかまえた少年」後編

風をつかまえた少年(裏表紙)
 結局、「風をつかまえた少年」を読み終えてしまった。図書館で偶然出会った本をもとに、廃物利用をしながら、涙ぐましい努力によって風車をつくる後編について、今日も、これから読む人の邪魔にならない程度に、私の感想というか想いを書きたい。

 昨日、私のクラスのOGが久しぶりに訪ねてきた。就活の後だという。彼女は、頑張り屋の多かった我がクラスでも飛びきりの頑張り屋だった。私のクラスになったのは2年・3年だったが、早や1年の時から目標を定めて、放課後は毎日予備校に通っていた。体育祭の後も、「じゃ行ってきます!」と、盛り上がっているクラスメートを尻目に予備校に行っていた。彼女には夢があり、その為には何でもやり抜く強さがあった。具体的には書けないが、様々な苦労を背負っていた。泣くこともあっただろう。だが、彼女は上を向いて涙を流す、そんな子だった。結局、現役で某一流国立大学の経営学部に合格した。大学に入って、学生が実際に経営に携わるサークルに入り、多くの同級生が去る中、結局そのリーダーになり、1年間その”会社”を守り抜いた。彼女の就活にあたって、私は普段から考えていることを口にした。

 「このところの日本の教育が、今の就活のしんどさを生んでいるような気がする。小・中・高と、塾で引かれたレールに添って、常に受動態で勉強して、いい成績をとって、いい大学に行っても、自分から学ぼうという姿勢がなければ本物になれないような気がする。ただ、君は毎日予備校に行っていたけど、それは目的のための自律的な学びだったと私は思う。だから、大学でも自分でやりたいこと選び、学生の会社を経営する重責に耐え、今があるのではないか。就活で苦戦しているのは、塾症候群の受動的学生だけのことではないのか。」彼女も同感だと頷いた。

 この「風をつかまえた少年」後編を呼んでいると、今の日本の教育のひずみみたいなものを感じるのである。自分で夢をもち、そのためにトライする自律性がかけているのではないか。このウィリアム少年の夢は、母親や妹の家事の苦労を失くす、父親の苦労を軽減する、マラウイの村の貧困をなんとかするという夢だ。彼は後にアメリカまで旅するが、そこで見たあらゆる科学技術に接しても、この技術を村にいかせないか、マラウイの貧困を脱するものにならないか、常に故郷のマラウイを想う。そのやさしさが、心を打つ。最後には、泣きそうになるほど感銘をうける本である。

 本校生は、そういう”やさしさ”を持った夢のため大学で学びたいという生徒が多い。だからこそ、彼らの真剣な戦いが心を打つ。…明日はセンター試験である。

2 件のコメント:

  1. 先日は有難うございました。
    私のことを書いていただき嬉しいです^^

    今の教育スタイルに関して、あるIT系企業の社長の意見に納得したことがあります。

    <なぜ受動的学生が就活で苦労するのか>

    高度経済成長期、日本は欧米企業から学び、
    成長してきたところがあるので、
    採用する人材にも効率的に正しく物事を理解し
    それをそのまま実践する能力が必要とされました。

    日本の教育はそのために論理的思考能力が重視されましたし、今の大学入試もそれを計れるものとなっています。

    昔はそれで良かったわけですが、現在は求められるものが変わっています。

    他社を真似、上司からの命令を正しく行うだけでは、
    世界で勝っていけません。

    これが、企業が近年従来のただの真面目人間ではなく
    自律性があり、流されず、ゼロから事を生み出す力のある人材を求める理由です。

    社会で求められる人材が変われば、
    採用にも影響し、
    日本の学校教育にも変化が求められるべき時に来ています。

    南高校は早くから世界を意識し、
    自分で考える機会が沢山ありました。^^

    Anru

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  2. Anru君へ。ほんと、このままだと日本はヤバイと思っています。(文科省もちょっと学習指導要領でそのへんは触れているけどね。)今やっているミニ国連も、ある程度その国の状況や価値観は知らしめていますが、あとは生徒の独自性でやろうと思っています。私の国際理解教育は、そういうリアルさと独創性のアウフヘーベンがポリシーだから。こんな学習は塾ではやらないと思います。就活、頑張ってなあ。

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