2010年10月25日月曜日

間前一小歩、文明一大歩

今日は、体験入学の代休日である。ちょっと早めにブログ更新をしたい。中国修学旅行シリーズの続きである。私は、昨年、今年と続けて北京に行ったわけだが、だいぶ以前に行った個人旅行での北京とも絡めながら少し考えたい。
 1つ目は、なによりも車の多さである。個人旅行で訪れた頃は、ダイハツとVWのタクシーが目立ち、高速道路も出来つつあった。ホテルから無謀にも、ハードロックカフェ・北京にタクシーを飛ばした。頼りは、硬石飯店の住所と止まってるホテルの住所のみ。英語など通じない。タクシーは、胡同(前日のブログ参照)の人力車よろしくカーチェイス状態で、何度も死ぬかと思った。今、北京の高速道路をあんなに飛ばすことは、余程の深夜でもないかぎり出来ないだろう。完全に飽和状態である。劉さんのガイドによると、平日に、1/5ずつの一般車の通行を規制しているらしい。月曜日なら1と6、火曜日なら2と7という風にナンバーの最後の数字で、規制の曜日が設定されているという。(ちょっとうろ覚えだが…。)北京オリンピックの時は、奇数偶数で規制されていたので、もっと車の稼働率が悪かったはずだ。規制を緩くした分、車の販売台数が増え、しかも、高級車と言ってよい新車がガンガン走っていた。
 2つ目は、「勇気優先」である。この車の交通ルール、まさに弱肉強食である。当然、政府・軍関係車、トラック・バス、高級車、大衆車、軽自動車、バイク、自転車、そして人間と、すさまじいヒエラルヒーがある中、一瞬のスキをつきながら前へ前へと進むのである。劉さんに言わせると、北京の交通ルールは「勇気優先」となるのである。生徒が感心していた。(笑)
 
この車の莫大な増殖と、勇気優先の修羅場を、今回は強く感じた次第。場所は、北京雑伎団の公演会場前の信号である。<写真はその会場。まだ人通りが少ない時点での撮影。>とにかく筆舌に尽くしがたい移動風景である。莫大な車、人、クラクション。壮絶な戦いと言ってもいい。私は,足を痛めた故に車いすを使用している生徒もいたため、最も危険な位置で生徒達の移動を見守っていたのだった。人と車に酔った、という感想だ。雑伎団公演は、今回は2階席で満員だったこともあり、講演が始まってから、まだまだ人が入ってきた。生徒の横に他の団体客が遠慮なく座っていく。さらに、劇場のスタッフに注意されると、大声で反論する。勇気優先は、交通ルールだけではないのである。

 この我々日本人から見れば多少揶揄したくなるような喧騒は、なにより中国の人々の数の多さからくる宿命的なものだと私は考えている。「和」を保てるのは、肉親・血縁。そして地縁が限界であり、それ以上になると極めて難しくなる。日本のスタンダードで測るべきものではない。とはいえ、今中国政府は、これをなんとかしようと懸命である。劉さんが、朝のバス停で整列乗車を呼び掛けるボランティアの紹介をしていた。オリンピック以来、街が飛躍的に近代化し、綺麗になった。それを有効に使いこなすには、「脱勇気優先」のスタンダードが必要である。その一つの現れであろう。

 今日のタイトルの「間前一小歩、文明一大歩」は、某公衆トイレで見つけた金属プレートの文句である。<写真参照>男性用トイレの前にあったので、意味は明瞭であろう。しかし、深く読んでみると、この脱勇気優先問題、長い時間をかけて一歩一歩中国が進んでいかなければならない大問題であると私は思うのである。北京「首都」空港では、ライターを持ち込ませない。喫煙所以外で喫煙する勇気ある者がいるからであろう。これには、まいった。(笑)

2 件のコメント:

  1. 「脱勇気優先」のスタンダード化。
    まさに、先生のおっしゃる通りだと思います。
    上海や北京の地下鉄等の公共交通機関も、以前と比べると格段にマナーがよくなったと言いますが、日本と比べるとまだまだと言わざるをえません。
    上海万博の上海市民へのスローガンが、「可愛い上海人になろう」でした。
    道に唾を吐かない、ゴミを捨てない、順番を守る

    いままで、OKだったことがある日を境にNGになるのは、
    当然戸惑いも多いと思いますが、我先に!と進まなくても、皆が平等に恩恵を享受できる社会に早く近づいて欲しいと思います。
    でもそうしたら、競争力のない日本人の若者のようになってしまうとの懸念もありますが。
    難しい問題です。

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  2. yukimi君、コメントありがとう。たしかに難しい問題だと思う。単に豊かになることでマナーがグローバルスタンダード化すると言うものではないと思う。日本的な恥の文化、欧米的な罪の文化とは、また異なる中国の文化だからねえ。

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