2024年2月15日木曜日

地獄思想はシュメールが元祖

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梅原猛の「地獄の思想」の興味深い記述についてのエントリーの続々編である。地獄に関して釈迦が語っている記述があるのは、法句経(最古の経典と目されている。2世紀頃)などに存在するのだが、インドにおいて地獄の思想が入ってきたのは、紀元前10世紀ころであったらしい。したがって、インド最古の「リグ・ヴェーダ」等にはその記述がない。
岩本裕氏によると、紀元前3000年ころに栄えたシュメールに「戻ることのない国」=クル信仰があった。このクルは、バビロニアやアッシリア、ヘブライなどにも見られる地獄思想の表象で、やがてギリシアのハァーデース(冥界)につながっていく。岩本氏によると、釈迦の時代にはすでにこの地獄思想は民衆の間に広まっていたようで、釈迦は方便として地獄の思想を使ったようだ。
仏教は理性的明澄さをもった思想で、同時に倫理的な因業概念をもつ。この倫理的な因業概念が説得性を持つためには、理性的な限界を超える必要(悪業を積むと地獄に堕ちるゾ、といったような)があった。それ故に釈迦の死後、大智度論や倶舎論などで地獄の綿密な描写が描かれていく。ちなみに、地獄とくれば、極楽であるが、これは浄土系の源信あたりから語られだしたものであるそうな。

…(都市伝説界で)なにかと話題のシュメールが、地獄の起源でも東西に広まっていったという話は実に興味深いではないか。

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