2024年2月24日土曜日

戦場ジャーナリストと平和村

https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/heiwamura/2014au.html
西谷文和氏は、市役所の公務員の職を捨て、戦場ジャーナリストとなった人である。小学校の教科書にも載ったアフガニスタンの難民キャンプの悲惨な生活を取材した時、タリバン兵が潜んでいた故にアメリカ軍に村が空爆され、集落ごと殲滅し、その時娘が死んだことを聞かされる。このような無差別攻撃を受けた側はタリバンに入隊し、さらに報復テロを行い、それに対する報復無差別爆撃という負の連鎖が繰り返されていくことに彼は悲憤する。

カンダハル空港から市内へ向かう国道は、「仕掛け爆弾通り」と呼ばれ、アメリカとカナダの多国籍軍の車両を狙って、タリバンが爆弾や地雷を仕掛けており、カナダの装甲車を追い抜こうとしたら、緑色の閃光弾が打たれた。通訳によると、それでも追い越そうとしたら、赤色のレーザー光線、さらに実弾が撃ち込まれるという。彼らも多国籍軍の兵士も非常に怯えているのである。市内の病院には、巨大な冷凍庫があり、遺体が入れられていた。あまりに危険なので、家族が引き取りに来れないのだという。全身が大火傷になった遊牧民の女の子がいた。不審なテントだと空爆され、その後地上軍が確認しに来た。ただの遊牧民だったことを知ったアメリカ兵は、少しだけ良心の呵責を覚えたようで、救難ヘリを呼び、「お見舞いだ」と500アフガニー札(1000円程度)を渡したという。彼女の母親や兄弟は死んでしまったというのに…。

カブールの小児科専門病院では全身火傷の赤ちゃんが所狭しとベッドに横たわっていた。貧困から地面に穴を掘って煮炊きをしている家が多い。冬は-20℃にもなり、赤ちゃんが暖を求めて穴に落ちるらしい。さらに衝撃的なのは、おしりに頭と同じくらいの腫瘍ができている生後4日の赤ちゃんである。テラトーマという奇形の腫瘍である。医師は、「劣化ウラン弾のせいだ、きっと。」と吐き捨てるように言った。背中に腫瘍がある子、生まれつき内蔵が飛び出している子、肛門がなく腸を外に出している子、頭が膨れ上がった水頭症の子。これらの原因は調査することを禁じられており、クラスター爆弾などとともに「きたない爆弾」の真実は隠されたままになっている。

「この子達を、平和村に連れて行ってくれないか。この病院では救うことができない。以前ここの子供の患者を何人か行かせたことがる。日本の伝手でなんとか推薦してくれ。」と若い医師に言われ、初めて西谷氏は平和村の存在を知ることになる。2年後、平和村を応援しているカタログハウス社から、アフガニスタンへの援助飛行するので取材してほしいというメールが届いた。その時に、赤新月社でインタヴューした少年から、衝撃的な話を聞く。「通学路にペンのようなものが落ちていて拾った。ペン先が開かないので口に加えて引っぱった閃光が走り、気がつけば病院のベッドにいた。」口に大きな穴が空き、右手の指は吹き飛んだ。これは、WWⅡ中にイギリスが開発した鉛筆型の起爆装置。タリバンがこんなものを作れるはずもなく、きっとアメリカ軍がばらまいたものと思われる。この残酷な爆弾は自爆テロを仕掛けてくる少年兵を狙ったものではないかと、西谷氏は推測する。

数日後、ドイツからアフガニスタンに帰国してきた援助飛行の取材も行った。「歩いてる。」「顔が戻っているよ。」「くっついてた指が開いてる。」みんな目を真っ赤して泣き笑い。こちらでは喜びを表現するのにお札をまいていた。

その後、アフガニスタンから援助飛行で平和村に着いた西谷氏が目にしたのは、ペン型の爆弾を拾って大怪我をした少年(画像参照)だった。2本の指で器用にフォークを使い、大きな口を開けて食事をしている。手術を3回したそうだ。西田氏が出会い報告してくれている子供の数も多い。全ては紹介できないのが残念だが、彼はこう結んでいる。「ドイツ国際平和村は、”本当の平和の作り方”を教えてくれています。」と。

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