2024年1月9日火曜日

ONE PIECE考 ウソップの存在

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ワンピースの麦わらの一味の中で、私はウソップを「道化」的な存在と見ていた。ところが、作者によると、一味の中で唯一フツーの人間という位置づけらしい。

たしかに、一味はとんでもなく強い。主人公のルフィーは、言わば、「一途な無謀さ」を体現している。同様の無謀さを持つ義兄弟のエースやサボに「手を焼くだろうが…。」と表現されているくらいだ。(笑)ルフィの格率は、仲間や友達、弱い者を守ることで全てであり、そこには相手が、世界政府であろうと、天竜人であろうと四皇であろうと些かの躊躇もない。そこが常人と異なるところである。もちろん強いからこそ体現できる格率である。

両翼のゾロもサンジもむちゃくちゃ強い。物語が進むに連れさらに強力になっている。ジンベエも強い。元王下七武海である。この4強だけでも凄いのだが、サイボーグであるフランキーも実に強いし、ブルックも護衛船団の元団長、剣士としても一流である。ロビンも戦闘時には、ハナハナの実の能力をうまく使っており決して弱くない。ナミも、昔は弱かったが雷の攻撃がだんだん強力になってきている。チョッパーも変身することで、攻撃力を上げてきた。

そんな一味の中で、唯一段違いに弱いのがウソップである。有能な狙撃手として、時たまいい仕事(エニエス・ロビー編で世界政府の旗を撃ち抜いたり、海楼石の手錠の鍵を一瞬で届けたり、あるいはドレスローザ編で、人間をおもちゃに変えるシュガーを気絶させたり)をしているが、普段は「臆病」を全面に押し出しているネガティブ・キャラである。だが、このルフィーの無謀に対するアンチテーゼが、ウソップの口から出ることで、一般読者にとっては物語が中和されているというわけだ。一般読者が物語に入り込むための装置といっても良い。彼は決して「道化」という位置づけではないわけだ。

私は、ウソップが好きではない。そもそもネガティブな発言が嫌いだからだが、なるほどと思った次第。

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