2024年1月19日金曜日

世界史の「大分岐」その1

https://mag.japaaan.com/archives/57474
玉木俊明の「先生も知らない世界史」のエントリー第5回目。ヨーロッパが世界を支配するようになった「分岐点」について。現在の経済史の論争の種となっているのは、2000年に発表されたケネス・ポメランツの「大分岐ー中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成」における、西欧と中国の揚子江地域、日本(畿内・関東)は平均寿命、1人あたり綿布消費量、識字率などで、ほぼ同様の経済状態にあったが、1750年頃からイギリスで国内の石炭が利用できるようになり、大西洋経済を発展させることが可能になり、資源集約的で労働節約的な(=機械化)経済成長を遂げることができたという説であるとのこと。

面白い数値が書かれていた。1522年から1644年にかけての西欧の書物生産量は約3570タイトルで、同時代の中国の推定値の40倍も多いというオランダの歴史学者の主張がある。清では、1644年から1911年にかけて126000部新版が出版されており、これを年平均に換算すると470タイトル。西欧の1644年の6000タイトルに比べてたしかに少ない。なお、日本の場合、出版点数は1720年代から1815年にかけて年平均300ほど。西欧では、印刷術の改良により書物の価格は安価で、有用な情報を提供しており、アジアよりはるかに知識社会だったというわけだ。玉木俊明氏は、一つの指標から西欧のほうがアジアより進んでいたという単純な歴史学を自分は好まないと書いている。この時代の日本の識字率は西欧より高く、中国の農書を中国人の手を借りずに読解し農業技術を向上させたりしているからだ。(識字率に関しては江戸期の日本:60%に対し、西欧2~30%というところらしい。)…つづく

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