2021年4月30日金曜日

ジュリーの「勝手にしやがれ」

https://middle-edge.jp/articles/I0001884
学校まで往復10分の車の中で、今日聞いていたのは、沢田研二(ジュリー)の「勝手にしやがれ」であった。私は意外にジュリーが好きでカラオケでもよく歌う。この曲はジュリーの代表曲であるように思う。

ふと、歌詞を噛みしめてみると、見事に情景が浮かんでくる。さすが、昭和を代表する作詞家・阿久悠の詩である。

壁際に寝返りうって 背中で聞いている 

やっぱりお前は出ていくんだな

悪いことばかりじゃないと 思いでかき集め 

鞄に詰め込む気配がしている

行ったきりなら幸せになるがいい 

戻る気になりゃいつでもおいでよ

せめて少しはカッコつけさせてくれ 

寝たふりしてる間に出て行ってくれ

バーボンのボトルを抱いて 夜更けの窓に立つ 

お前がふらふら行くのが見える

さよならというのもなぜか しらけた感じだし 

あばよとさらりと送ってみるか

別にふざけて困らせたわけじゃない 

愛というのに照れてただけだよ

夜というのに派手なレコードかけて 

朝までふざけようワンマンショーで

背中で、女が去ろうとしている気配を感じている。しかも女の想いの中に多少の未練を感じ取っている。「悪いことばかりじゃないと 思いでかき集め 鞄に詰め込む気配がしている」素晴らしい歌詞ではないか。

「バーボンのボトルを抱いて 夜更けの窓に立つ お前がふらふら行くのが見える」まさに情景が浮かぶ歌詞だ。こういう時、男が飲む酒は、やはりバーボンがふさわしい。バーボンと言うちょっと非日常的で語呂もいい酒。”バーボンのボトルを抱いて”=5字7字。ふらふらと女が去っていく。かなりの心労がそうさせているのだ。これまでの恋の強度がわかる。いいよなあ。街灯と女の影がゆれているのが見えるではないか。

”しらけた”というのは、当時の流行語の1つ。派手なレコード、ワンマンショー。昭和を感じる語彙だが、この2つの7字には、この歌のキーワードとして見事に映えている。

この歌で描かれている男は、「ふざけること」で自分の大事な何かを隠し通そうとしているようだ。2度出てくるこの「ふざける」という動詞。これもこの歌のキーワードである。彼が隠そうとしているのは何なのだろう。意外に純粋な男のロマンなのかもしれない。

1977年。昭和52年。私は大学2回生。この頃にはまだ未来に夢があり、シラケ世代と言われながらも、若者が純粋に自分の生き方を探していた時代だ。加藤諦三の「俺には俺の生き方がある」などという、今読むとちょっと恥ずかしい本がまだまだ売れていたし、革命という言葉に皆、憧れを抱いていた時代であった。

恐るべし、昭和の歌謡曲。中でもこの歌詞は最高級品だと私は今日改めて思ったのだった。

https://www.youtube.com/watch?v=aFAdojrMoao

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