2021年4月4日日曜日

モザンビークの資源の罠

https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20210319-00228132/
モザンビークではタンザニアと接するガボ・デルガード州を中心に天然ガス田が発見され、好景気が訪れている。が、もちろんアフリカのガバナンスの関係で、潤っているのは政府関係者など一部の富める者である。この格差を、イスラムの過激派が暴力で訴えている。

モザンビークのムスリムは20%ほどであるが、アル・シャバーブ(ソマリアのアルカイダ系の組織とは別で、ISに忠誠を誓っている。)という組織が、「不信仰者の政府ではなく、イスラームの政府を求める」と主張している。おそらくは、ISからの生き残りが現地のムスリムと結びついているようだ。警察がテロ対策として少数派のムスリムに暴行したり投獄したりして被差別感情を加熱させたという指摘や、政府がシリア内戦で活躍したロシア人傭兵を使ってアル・シャバーブを鎮圧しようとしているようで、結局暴力の連鎖が今後続くように思われる。

イスラム過激派とは無縁だったモザンビークが、現在このような状況に陥ったのは、まさに資源の罠から紛争の罠へと政府のガバナンスの悪さが導いたといってよい。アフリカの典型的な事例である。

私は、イスラム復古主義を悪と決めつけるのは間違っていると思っている。暴力は当然否定するが、彼らには彼らの信念と言い分がある。皆が貧しかった時はいいが、経済格差が拡大すると、ムスリムの中では復古主義が見直されるのは当然の理である。

そもそも、モザンビークは旧宗主国であるポルトガルの無能な植民地経営と無責任な独立で内戦化した国の一つだ。アフリカ開発経済学をやっていると、ポルトガルの責任の重さを痛感する。やっと内戦が終わり、復興する中で、こんどは資源の罠から紛争の罠へと進んでいくのかと思うと胸が苦しくなる。

モザンビークに進出している中国石油天然ガス公司には全く期待できないが、エクソン(米)、ENI(伊)そしてSMBC(日)のG7の企業にはできる限りの現地への利益還元を望みたい。就中、日系のSMBCには…。

モザンビークの日系のSMBCについては英文のHPだったのでよくわからないが、おそらく三井物産・三菱商事・住友商事・丸紅といった総合商社が進出しているので、三井など財閥系主導のプロジェクトなのではないかと思う。彼らもSDGsを推進する立場なら、現地のために是非とも一肌脱いでもらいたいところだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20210319-00228132/

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