2019年8月22日木曜日

PBTの話(64) 最後のサルトル

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西洋哲学史講義の中で、私が最も好きな哲学者は、サルトルである。私の教え子には毎度おなじみの映画「典子は今」を使っての講義である。当然ながら皆、真剣に受けて止めてくれた。典子は今、対他存在の意味も十分理解してくれたと思う。

今回、サルトルを教えるにあたって、ムスリムにとっての自由について考えていた。彼らとやり取りをする中で、無神論的なサルトルをどう理解してもらうかが重要だった。イスラム教の六信の中の自らの天命について、日本留学をめざす若いマレーシアのエリートたちは、自らが努力し、自らの天命は自らが作るのだというムスリム的サルトルの理解に至ったような気がする。実存は本質に先立つということも、人間は自由の刑に処せられているということも、そういうムスリム的な理解ができたと思う。

思えば、授業で何度、サルトルを説いてきたことだろう。おそらくこれが最後になるのだと思うと、思い入れがあるだけに感無量である。

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