2017年1月15日日曜日

センター試験「倫理」2016年度

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試験に出た科学哲学者クーン
今年もセンター試験の「倫理」についてエントリーしようと思う。私は、マレーシアにあってセンター試験対策としての受験の「倫理」を教えることはなくなったわけだが、浪人生のA君も受験したことだし、コメントしておきたいと思う。この毎年恒例のエントリーも最後になるかもしれない。

昔なら、倫理の平均点は他の地歴公民の他教科に比べて十分高かった。暗記科目と揶揄される地歴公民科の中で記憶すべき項目量が圧倒的に少ないというが最大の魅力であった。倫理の内容が面白いと思えれば、そんなに苦痛ではなく有利であった。問題は、私大と併願することはほぼ不可能で、国公立一本で受験する場合、あるいは地歴・公民それぞれ2教科を受験する余裕のある生徒が、倫理を選択することが多かった。リスクはあるが、90点獲得も十分可能、それがセンター試験の「倫理」であったわけだ。ところが、国立の最難関校が、「政治経済・倫理」という公民の合併科目を必須としだした。「倫理」1教科だけで受験できる国公立校が減少したわけだ。この「政治経済・倫理」の合併科目は、「倫理」の大問4つのうち3つ、政経からも同じくで、全く同じ問題が出題されている。

センター試験を運営している側からすれば、地歴公民科のどの科目の平均点も同様の方がいいわけで、この「政経・倫理」の誕生後は、特に難化していったように思われる。それが、選択肢の増加、とりわけ3つの文章の正誤を全て当てる問題や、それらの問題の1つ1つの文章の長文化が挙げられる。昔は、いわゆる秒殺問題のような単純な問題も多かったのであるが、今はそういう傾向はほとんど見られない。一方、長らく倫理の教科書を見ていないのだが、試験に登場する哲学者が、重箱の隅をつつくようなマイナーな人まで出るようになった。センター試験の出題範囲は、基本的に教科書対応しているはずである。何社かある教科書の一種にでもに載って入ればいいらしいが、今回の新顔、果たして載っているのだろうか?今となっては確かめようもない。(ちなみに私はいつかデリダが出ると思っているか、まだ出てこない。これのほうが不思議だ。)今日の画像は、米の科学哲学者クーン。彼のパラダイム論なるものが出題された。残念ながら私は初めて知った。こういう新顔を入れることを否定するつもりはないが、哲学史の流れをきちっと抑えていくことの方が、大学生になった後有意義だと私は信じている。

これからも、「倫理」の受難は続くのかもしれない。昔は通常補習で教えた生徒が、どんどん90点台を取っていたが、「倫理」の傾向をもっと精査して対応しなければならなくなるし、「倫理・政治経済」を選択する大学・受験性も増えていくような気がする。少し、寂しい気持ちになった、そんな今年のセンター試験の感想である。

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