2016年10月8日土曜日

IBTの話(42) 補習で熱く語る。

http://naruhodo.jp.net/malaysia-reverse-culture-shock/
昨日は、放課後の補習の日だった。補習は、EJUとは全く関係のない「アフリカ開発経済学」をオリジナルのテキストをピックアップしながら進めている。経済学的な視点、政治学的な視点をほぼ終えて、文化人類学的な視点に入った。ここで、スイス航空の雑誌広告の話が出てくる。これまで、このスイス航空の話は、2度エントリーしている。2010年12月15日付と2015年1月11日付である。

スイス航空は、なぜアフリカの17カ国へ飛んでいるのでしょう。
それは、ここには石油、禁、ダイヤモンド、銅、鉄、プラチナ、木材、ココア、ナッツ、ゴム、タバコ、スパイス、果物、コーヒー、綿花、それに珍しい動物やすばらしい砂浜があるからなのです。
…デア・シュピーゲル誌の広告(1972年) アフリカの選択/マイケル・B・ブラウンから引用。

これを、マレーシアの生徒にぶつけてみた。もし、君たちがマレーシア航空のCMを考えるとして、どんな内容を入れるか?すると、ドリアン、マレー料理、中華料理、インド料理などと、美しい自然や世界遺産が次々と挙がった。なるほど。で、私が日本のCMならということで、四季の変化に富んだ美しい自然、日本固有の文化遺産などを挙げた後、おもてなしの心、治安の良さと快適な生活様式などを私は、一番見てもらいたいと思っていると話した。人、文化、それこそが重要だと。どう?マレーシアの文化や人間の良さはどこにある?と質問してみた。

実は、彼らは、こういう時、自国に対して自信に欠けるきらいがある。それは、国民国家でありながら、マレー系として、あるいは華人としての微妙な機微があるからのようだ。多民族国家故の機微であると私はこの半年の経験で承知している。あまりに文化的基盤の差異が大きいのだ。ほんと、いろいろあるはずなのだが、とにもかくにもうまく共生しているのである。その多文化共生がうまくいっていることを、私なら何より大事にしたい、と訴えたのだ。そんな例をいくつも話した。

これには、彼らも大いに納得してくれた。で、アフリカである。スイス航空の広告には、人も文化も出てこない。この上から目線では、アフリカを理解し、共生は不可能なのだ。そういう話を語ったのだ。アフリカを学ぶ者は、アフリカから学ぼうとし、自らの反省材料にするとは、峯先生の名言である。まずは、文化人類学的なスタンスを熱く語ったわけだ。

講義が終わった後、教室にはなんともいえない充実感が満ちていた。いい授業ができたと思う。早期退職までしてマレーシアに来て、彼らと出会えて本当によかったと思うのだ。

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