2012年6月3日日曜日

アフリカの失業率60%を読む

アフリカの失業率は60%にものぼっており、約4000万人の若者が失業し、2200万人が仕事を探すことをあきらめている、という報告が、「アフリカの経済見通し2012」(AEO:アフリカ開発銀行・OECD開発センター・国連アフリカ委員会・UNDPが共同で作成している。)やBusiness Liveが報告・報道しているという。

普通に読めば、アフリカの経済に悲観的にならざるを得ないわけだが、この失業率60%という数字に、たいして私は驚かない。先進国の尺度で見れば失業率60%ということである。

そもそも脆弱なガバナンスのサブ・サハラ=アフリカ(今回の統計には南アも地中海沿岸のホワイトアフリカも入っていると思うが…)では、GDP等の経済統計に入れることが可能な企業活動=政府が税金を徴収できる企業と言い換えてもよいが、先進国のように全てがきっちり把握されているわけではない。把握されていないインフォーマルセクター(日銭を稼ぐ小規模商業活動が多い。)は都市部を中心に盛んで、それらを掌握できていないだけのことである。

アフリカでは、農村と都市の往来も我々の想像以上に多い。農村に帰れば彼らはりっぱな農業従事者であり、失業者とはいえない。都市での雇用、特に、GDPを押し上げる工業の雇用が少ない故に、このような結果になっただけのことである。先日も、ソマリランドにコカコーラが進出するとか、ナミビアで新飲料が開発されたというニュースもあったが、これらは装置工業であり雇用数が少ない。飲料水産業は、重量が重く消費地近郊に立地するので、アフリカ各国でも工場経営が成り立つ。だが、雇用が少ないという大きな問題を抱えている。そう簡単にどこでも雇用創出できるわけではないのである。で、若者はインフォーマルセクターに吸収されるしかないのである。

OECD開発センターのディレクターが「アフリカ諸国が効果的に労働力を拡大し、あらゆる規模の企業に焦点を当て、若者の雇用に取り組むための協調戦略を練る必要がある。」と言っているらしい。うーん。開発経済学をかじっただけの私でも、教科書的な綺麗ごとに聞こえる。報告書には「起業家精神の可能性を述べ、インフォーマルセクターに焦点をあてることが重要だ。」と報告しているらしい。あたりまえの事実をあたりまえに言われてもなあ。OECD開発センターなんて組織いらないんじゃないか。職員の給料はそんなに高くはないが、少なくとも先進国の税金の無駄遣いだ。そんな金があれば、NGOやアフリカでビジネスを企画している起業家に投資したほうがいい、と私は思ってしまうのだ。

http://www.africa-news.jp/news_ACUvK1i6A.html?recommend

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