2012年4月20日金曜日

5分に1回笑わせる「倫理」

桜の花びらが散った後にさく水仙 本校正門前で
新学期2週間目。我が1年1組は順調に学校に馴染んできているように思う。現代社会(というより『倫理』である。)の授業も、我がクラスで3回行った。先週金曜日が水曜日授業だった関係で今週は月・火・金・木・金となったからだ。クラスの生徒の名前もほぼ覚えたので、授業では名前を読んで発問できるのが嬉しい。(…まだ他のクラスの生徒の名前はクラス代表くらいしか覚えていない。申し訳ないことだが、50を過ぎてかなり記憶力が鈍っている。)

『倫理』は、毎回のことだが、3つのコンフリクトの話から始まる。私の『倫理』の授業を受けたOB・OGなら、きっと懐かしい「腸チフス」の話(10年4月13日付ブログ参照)で笑いを取る。次の時間は、「エディプス神話」を語るのだ。大抵かの有名な”なぞなぞ”の答えを知っている生徒がいる。ちょっと心理学的な話題も挿入する。エディプスコンプレックスの解説もするのだ。3回目の授業では、「神話」と「哲学」の相違を教える。比喩的表現から明確なロゴスとしての言語的な表現へ。実は、この部分は、本校生というより、中学3年生に毛がはえたくらいの新入生にはかなり難解であると私は思う。

そこで、今回はこんな教え方をした。たとえば、「桃太郎」の話。あの話は何を言いたいのだろう。桃がドンブラコ~と流れてくる。かなりでかい桃。よく浮かんでいるよなあ。(笑)桃を切ったら桃太郎が出てくる。よく怪我をしなかったもんだ。(笑)で、子分をつれて鬼退治。そんなに鬼は悪い奴なんだろうか。宝物をどっさり取ってくる。これって強盗ちゃうんか?(笑)「浦島太郎」の話も同様に茶化す。
人それぞれで、これらの話の捉え方が違うのではないか、と問いかけるのだ。はっきしないよなあ。生徒は笑いながら頷く。それに対して、タレスは「万物は水である」とはっきり言っている。これが哲学なのだが、まだ難しいと思う。で、ヴィトゲンシュタインやデリダで使う話を大放出した。「男は(    )である。」と、黒板に書いて、さあ(    )に入る言葉や文章を入れてみよう、と女子に聞いてみる。「子供」「単純」…おいおい。教室は大爆笑である。元気な男子を名指しして、「おーい、お前のこと言われているぞ。」またまた大爆笑。こういうふうにして、はっきり言い切ることが哲学の始まりなのだと教えるのだ。ちなみに、前任校も含めて様々な回答があった。今も面白いと思うのは、「筋肉」とか「遺伝子が足りないもの」とか。私なら、「やさしさ」と答えるが…。「こら、引くな。」これまた大爆笑だった。

この後、落ち着いてアルケーの説明をして、タレスやアナクシマンドロス、アネクシメネスの話になる。彼らの『水気』や『カオス的なるもの=ビッグバン的な見方』『空気=気』など、古代人の直感があながち大きく外れていないことも面白可笑しく語るのだ。『気』の説明には、ドラゴンボールのカメハメ波や元気玉の話なんかもする。我がクラスでは盛り上がりすぎて、ピタゴラス学派の話が少し中途半端になってしまった。(笑)ピタゴラスの宗教団体の戒律も面白いのでなかなか盛り上るのだ。5月のHR合宿では、ピタゴラス学派のように、起きる時は布団を人間の形にしてから出るように、などと言うと、これまた大爆笑だ。次回は、ヘラクレイトス、パルメニデス、エンペドクレス、そしてデモクリトスと話が進んでいく。パルメニデスは高校の教科書には出てこないことが多い。難解だからだが、彼の存在論を語らねば、エンペドクレスが語れない。さらに挑戦の日々が続く。

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