2012年4月15日日曜日

京大公開講座4月の追記

鳥取大学乾燥地研究センターのHPより
昨日の京大の公開講座のエントリーで、書ききれなかったことが2つある。今日はそのことを書きたいと思う。大山先生が首都大学東京時代に書かれた論文「西アフリカ・サヘル帯における市場経済化の進展と砂漠化問題」をWEBで発見した。この論文こそ、昨日の講義のほとんど全てが書かれているようだ。
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/member/thesis/Oyama2010-hosei.pdf

昨日書ききれなかった事の1つは、大山先生が言われていた「現在行われている砂漠化対策」への批判である。論文(以下のWEBページ2P目)の中で、『ニアメ(ニジェールの首都)の国際空港に着陸しようとする飛行機の機内からも、植林地や浸食防止対策の施工面積が近年、急速に拡大している様子がうかがえる。しかしその施工方法には違和感をおぼえるkともある。』『現在の砂漠化防止対策は高価な資材、多大なエネルギーと資金を必要な技術開発をめざすものが多いという指摘もある。』

…実際にどんな砂漠化対策が行われているのかを調べてみた。日本語のWEBページでは、鳥取大学の乾燥地研究センターのページに詳しく載っていた。一読したが、なるほどと思わせるものだった。
http://www.geocities.jp/soil_water_mitchy11/favorite.htm

大山先生が論文で指摘されているのは、ここで解説されている『砂丘固定技術』なのだろうか。一方、国(環境省)の砂漠化対策については、「砂漠化対処条約」(UNCCD)をもとに、様々な対策を行っているようだ。アフリカでは、伝統的な知識・在来技術を活用した取り組みを行っているようだ。これも、なかなか面白かった。
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11246&hou_id=9612

大山先生は、グローバル経済の浸透、市場経済の定着という社会変化の中で、農村から都市へ栄養分が移動し、都市と農村の物質循環の欠如が起こっていると指摘されている。(この表は昨日の講座のレジュメでも掲載されていた。)これこそが、砂漠化の原因であると書かれている。この視点こそが重要な問題なのではないか。単に莫大な資金や技術を使いインフラ的な対策をうつ外科的な対処法ではなく、生態系全体から見た内科的な対処であるといえよう。凄い視点だ。

もうひとつ、書ききれなかったこと。それは、このアフリカでの地域研究の視点が、全世界的な都市と農村の物質移動と関わることである。砂漠化はサヘルが最も顕著だが、全地球的に砂漠化が進んでおり、それは同時に世界の穀倉地帯であるということである。大山論文には次のようにある。『生態系の物質循環のなかに歳を位置付けないかぎり、世界各地で進行する砂漠化問題の解決、都市と農村の持続性を追求していくのは困難である。』

…もし、アフリカの「知恵」が世界を救うなら、こんな素晴らしいことはないではないか。ワクワクする話である。

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