2011年6月4日土曜日

歌川国芳展に猫を見に行く

あべの地下センターの通路にて
妻は浮世絵が好きである。しかも猫が好きである。「浮世絵+猫=絶対に行く」である。会期もあと2日しかない。というわけで、先々週に行く予定だった歌川国芳展に行ってきた。混んでいるんじゃないかという危惧は現実になった。(笑)凄い。間近に絵を見れない。早々と、妻が「図録を買おか。」と言った。私たち夫婦は展覧会に行くことも度々だが、図録まで買うことはそうない。ゆっくり見れない以上、「浮世絵+猫-混んでてよく見れない=図録を買う」となったわけだ。(笑)2500円。思わぬ出費である。

混んでいたものの、それなりに有名な作品はじっくり見た。やはり国芳は面白い。幕末という時期もあるが、それまでの浮世絵の世界を飛び越えている。

特に、戯画が面白い。妻は、猫の作品が当然大好きだが、「化物忠臣蔵」という作品がなかなか良いのだという。<右の作品>
付喪神を思わせるらしい。妻は京極夏彦も民俗学も好きである。ふーん。

私は、今回の展覧会でもかなり使われている「朝比奈小人嶋遊」が一番好き。室町時代の豪傑の朝比奈が、ガリバー旅行記のような構図で大名行列を笑っているのが、幕末の一般庶民の気分を表している様な気がする。

少し調べてみると、これには、天保の改革が関係していた。改革で質素倹約が謳われ、役者絵や美人画が禁じられ、色数などの制限をされた。出版界が大いに疲弊した後、結局改革が失敗し、検印が2つになり規制がゆるんだこと、国芳をはじめ、ならば役者を化け物や猫などで描くことで規制からはみ出ようとしたことなどが挙げられそうだ。国芳という人も、心意気で仕事をするタイプの人だったらしい。

朝比奈小人嶋遊
江戸幕府が疲弊し、まさに崩壊しようとする時期、こういう浮世絵師が登場し、ユーモラスに規制を逃れつつ、庶民の心意気を表現していたというのがいい。「時代の文化」とはそういうものかもしれない。では、まさに同様の、今の幕府崩壊寸前の日本を象徴している「時代の文化」って何だろうと、考えるのだった。いや、それより重要なことがある。真に心意気のある政治家はいないものか、と思ってしまうのであった。

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