2025年11月17日月曜日

教材研究 南アの虹の国

ケニアの農村で、キャッサバを見せる故ピーター・オルワ氏
…JICAのケニア視察旅行の帰国時の空港で、コーディネーターの故ピーター・オルワ氏が、最後の最後に「レインボーだよ、レインボー!」と叫んだ。 その時は、なぜ彼がそう叫んだのかわからなかったのだが、今思うと、南アのマンデラ大統領が主張した「虹の国」を、ケニアも含めてアフリカ全体の明るい未来への希望を込めていたのだと思う。今回の「国是」の中に南アを含めたのは、故ピーター・オルワ氏へのリスペクトからである。

南アの国章には、カム語で「多様な人々の団結」という文字が刻まれている。人種平等の達成と民主主義の実現、多様な民族が共存する「虹の国」としての国家を建設するという願いからである。国歌も、コサ語、ズールー語、ソト語、アフリカーンス語、英語の5ヶ国語で構成されれている。国歌の元になったのは、コサ語とズールー語の「アフリカに祝福を」とアフリカーンス語の「南アフリカの叫び声」である。

南アはアパルトヘイトという過去を持つことは周知の事実である。アフリカーンス語を話すアフリカーナーは、主としてオランダ系のカルヴァン派(+フランスからオランダに逃れたユグノー等)である。彼らがアパルトヘイトを主導した。ボーア戦争でイギリスの植民地となったが、WWⅡ以後政治の主導権を握ったのだった。カルヴァン派の予定説から見れば、現地の黒人は、全くの差別の対象となったのである。

ともあれ、今はアパルトヘイトは廃止された。だが、そんな簡単に解決するわけはない。南アは今もジニ係数(国内の経済格差を計る指標)では世界最悪の数値を叩き出している。

…故ピーター・オルワ氏の叫んだ「レインボー」は、未だ道半ばである。

0 件のコメント:

コメントを投稿