2025年11月15日土曜日

世代を超えて教えたいこと

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地理総合の授業では、アメリカの国是や理想、11のアメリカといった地誌的な内容が一息ついたところである。期末考査まであと2週間。ここからは、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、南ア、オランダとテーマ講義が続いていく。ちょっと気になったことを、エントリーしたい。

ウェストバージニア州(州コードはWV)は、グレイト・アパラチアの起点となった州であるのだが、私は9.11の話をする。9.11については、生徒諸君はおよそ映像などで知っていて通じるのだが、オノ・ヨーコがNYCのNYタイムズ紙”IMAGINE PEACE”という広告を出したことを述べた際、生徒諸君はオノ・ヨーコが誰なのかを知らない。亡夫・ジョン・レノンの名も軽音楽部の生徒以外知らない。まさに世代的な認識の相違である。さて、WVで、女子高校生が平和を訴え、退学になった話をする。実際の攻撃を受けたNYCでオノ・ヨーコがこういう広告を出してもさして非難は出なかったのだが、WVでは、”平和を”と書かれたビラを撒いた女子高校生は退学処分になったのである。この事件は、民放のある報道番組で大きく取り扱われた。平和主義を国是とする日本らしい話のだが、私は、WVのいう地域性に対するマスコミの無知を感じた。アパラチア炭田が主産業で、斜陽化後は軍人になった人々が多いプワーホワイトの州、WV。彼女の行為は正義であったかも知れないが、地域性と真っ向から対立する行為だったのだ。

ディープサウスでは、”Heart of Dixie”=南部の心臓という愛称をもつアラバマ(州コードはAL)のカープレート(画像参照)を見せて始まる。もちろん、かの公民権運動の震源地としてのモントゴメリーのバスボイコット事件について語るのだが、M・L・キング牧師の”I have a dream”の演説は、今の高校生には直感的に伝わらない。昔は、中学の英語の教科書に必ずと言っていいくらい載っていて、暗唱できる生徒も多くいたのだが…。この公民権運動自体も教える機会が少なくなったように思う。アメリカの多民族社会を”人種のるつぼ”から”人種のサラダボウル”と言い換えているアメリカというかWASPにとっては、ネイティブアメリカンへの仕打ちと共に黒歴史ではある。日本の教育界が忖度したのかもしれないが…。

私は、善悪や美醜を超えて、知る限りのアメリカという国を、世代を超えて伝えたいと思うのである。昨日下校時に、ある生徒が「授業を聞いて、是非アメリカに行ってみたいと思いました。」と言ってくれたのが、何よりうれしい。

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