2025年11月10日月曜日

教材研究 ドイツの反省と貢献

https://lacosuke.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/33-9fdc.html
ドイツは、16の連邦州で構成され、各州は独自の憲法と広範な自治権を有している。非公式な国是には、「統一と正義と自由」がある。統一は、領邦国家として英仏に遅れを取った歴史をもつドイツにとって、また冷戦下で東西に分裂したがゆえに、重みがある。

一方、ドイツの国是は、国歌の三番の冒頭で「民主主義や法の支配」といった普遍的な価値を重視する姿勢だという見方がある。ドイツは、ビスマルクが統一後、社会主義者を弾圧しつつ、疾病保険法、労災保険法、障害・老齢保険法を成立させ、社会保険制度を確立させた、社会権の先駆者である。WWⅠ後のワイマール憲法は、当時としては最も民主的な憲法(国民主権・男女平等の普通選挙法・社会権の保障等)であったが、ナチスがこれを利用して、民主的プロセスで台頭した。警察権を握りドイツ共産党を壊滅させたうえで、時限立法の全権委任法を成立させ独裁へと持っていく。SA(突撃隊)などの暴力も有効に活用して、ではあるが…。

そのナチによって、WWⅡが引き起こされ、ホロコーストを行ったことは、ドイツにとって極めて重要な反省すべき問題である。「イスラエルの安全はドイツの国是である。」といった考え方も強い。名誉職的な色彩が強いドイツの大統領は、イスラエルへの贖罪が最も重要な政務の1つで、何度も訪問しては贖罪の演説をしたりしている。ただ、最近のガザやイランとの問題で、この国是が揺れていることも事実である。

イスラエルへの贖罪だけでなく、ドイツは国際貢献に熱心である。シリア難民を最も受け入れたことや、戦争で身体的に障がいを受けた子供を預かり、治療して戻すドイツ国際平和村も、その贖罪意識から出ていると私は思う。

ドイツは、伝統的に、理性によって自ら構築した理論構築を重んずる国である。かのナチがホロコーストを行う際に、ニュルンベルグ法でユダヤ人の定義をまず規定したことが、印象に残っている。このドイツの理性については、フランクフルト学派から「道具的理性」と揶揄されているが…。

…イスラエル行で、死海に行った際、バス(画像参照)が途中で動かなくなった。後から来るバスを待っていたのだが、選民意識の強い超正統派は他者を顧みず我先に乗って行った。老人や女性を優先スべきと考えた我々(私と妻と息子の妻)は、最後まで残ったが、同じく残っていたのは、ドイツ人青年だったことを思い起こさせる。彼の胸中にあったのは、贖罪意識だったのか、日本人的発想と同じ理性的判断だったのか…。

0 件のコメント:

コメントを投稿