2025年11月16日日曜日

教材研究 露のナショナリズム

ロシアには正式な国是はないが、伝統的な価値観と国家の主権を守るという強烈なナショナリズムがあると言える。もとは、モスクワ公国という小さな存在だったが、領土拡大で世界一の面積を誇る大国になった連邦国家で、89の構成主体(48の州、9の地方、3つの市、24の共和国、1自治州、4自治管区)に分かれている。(ウクライナとの紛争で係争中の6地域を含む。)

ロシアは、対ナポレオンとの祖国戦争、対ナチス・ドイツとの大祖国戦争で、多大な人的被害を出した国であり、この歴史からナショナリズムが強い国家となった。また、ユーラシア主義が国是とみられることもある。ロシアは、ヨーロッパでもアジアでもないという地政学的概念であり、モンゴル帝国の征服を受けた歴史やビザンチン帝国の正教会を受容した歴史、中央アジアのイスラム国をソ連時代に従えた歴史を持っている。現在のプーチンはこのユーラシア主義者だという主張もある。

ロシア革命による世界最初の社会主義国としての歴史は、プロレタリア独裁という体制をとり、スターリンの治世ではスターリニズムという個人崇拝と恐怖政治が行われた。この影響は大きく、ソ連崩壊後、市場経済に移行したものの、民主主義は確立せず、自由や権利、表現の自由などはかなり制限されている。今も独裁政治体制だと見るのが妥当だろう。

ロシア正教会は、ソ連時代は弾圧されたが、WWⅡの大祖国戦争時にスターリンによって復活され、他の国家以上に二人三脚で政府を支えている。核兵器を祝福したことでも知られる。

…ロシアは、ロシア帝国時代に領土拡張の結果、日露戦争後に経済的混乱をきたし、ロシア革命を呼んだ。ソ連は、これも領土拡張(というか親ソ政権の確保のためだが…)アフガン侵攻で同様に経済的混乱を呼び、ソ連が崩壊した。同様の歴史を繰り返すというYouTube(神野正史の世界史ワンポイント講座34回:URLが長いのでタイトル表示)を見たが、納得せざるを得ない。現在のウクライナ紛争も同じ過ちを繰り返しそうだ。

…実際、すでにロシアの軍事力は60%損失し、25万人の死者を出しているという情報もある。なにより、経済を支えてきた軍事産業が国際社会での評価を落としているようである。石油や天然ガスといった鉱産資源と並ぶ経済基盤が危ういようである。今回の授業では、こういった深部に触れる時間的余裕はないが、国民生活もかなり危機的な状況であるらしい。

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