2017年12月10日日曜日

エルサレムに平和を

https://gunosy.com/articles/Rr2wb
アメリカ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認める宣言(神殿の丘は現状維持・2国家案は放棄しない)をした。テレアビブにある大使館の移動には数年かかるだろうし、その頃にはこの大統領はその座にあるはずもない。要するに世界で最も巨大な権力を握ってしまった男の意思表明に過ぎないのだが、何故この時期に?という問に、「オリーブ山便り」で石堂さんがちゃんと解説してくれている。http://mtolive.blog.fc2.com/

この宣言は、12月6日に行われた。この歴史的タイミングについて、エルサレム東西統一50周年、来年は建国70周年。今年はバルフォア宣言から100年目にあたる。そのイギリスがパレスチナにユダヤ人の祖国を建設するとしたバルフォア宣言の約1ヶ月後英軍を率いて、アレンビー将軍がエルサレムをオスマントルコから解放したのが、5日後の12月11日である。この時アレンビーは軍人としてではなく、巡礼として入るとして馬を下り、徒歩で入場を果たしたという。この12月11日頃は、ユダヤ人をシリアの暴君からたった5人でエルサレムを解放したマカビー家を覚え祝うハヌカの祭りの時期で、アレンビー将軍は今もハヌカの英雄と重なるイメージがあるらしい。(第三者の悪意をもって見れば)大統領も、その英雄に自分を重ねようとしているわけだ。

イスラエル政府はもちろん、右派などは大歓迎であるが、世俗派など普通のイスラエル市民は、この問題で平穏が乱されるのをを望んではいないようだ。当然ながら、パレスチナ人の反発は大きい。特にハマスの支配するガザ地区からはロケット弾が発射された。(アイアンドームで迎撃されたが、駐車場に落ちたものもあるらしい。ショックを受けて手当をされたイスラエル市民はいるようだが、死者・負傷者なし。)これに対してイスラエルはガザに空爆で報復している。負傷者が多数出ている。ガザの抗議デモで、イスラエル軍の実弾威嚇で2人が死亡、2・30人者の負傷者が出たらしい。ヨルダン川西岸の各地でも「怒りの日」のデモは行われ、多数の負傷者を出しているが、現在のところガザよりは比較的平穏のようである。国際社会に目を移すと、アラブを中心としたイスラム諸国は当然のように猛反発しているし、先進国や国連も、この宣言を厳しく非難している。マレーシアでも日本国大使館から、デモが予想される故、アメリカ大使館に近づいてはいけないという注意喚起がなされている。

たとえ、歴代のアメリカの政策(エルサレムをイスラエルの首都とするという議会での決定)であったとしても、大統領の一言が、事実上の戦争を引き起こしている。どこかの国が戦争犯罪人として国際刑事裁判所に訴追してはどうかと思う次第。鄧小平のように、尖閣諸島の問題を棚上げにする叡智をもっていないと大国の指導者はつとまらない。いたずらに正義(私はエルサレムの首都問題ではこれが絶対的な正義だとは思わないが…)をふりかざし、多くの罪のない人々を殺し、傷つける選択をするのは、愚者のやることだと思うが…。

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