2017年12月2日土曜日

ナイロビ キベラの子とも達

車窓から撮影したキベラスラム遠景(2003年)
「子どもたちの生きるアフリカ」の書評第二弾は、ブルキナに引き続き私が実際に経験したケニア・ナイロビのキベラスラムについて書かれた章を挙げたい。大場麻代氏の「スラムで学び、遊び、働く-ケニアの首都ナイロビで」(第5部/都市に生きる)である。著者は帝京大学講師であるらしい。ちょっと遠いが同じ帝京大学グループの一員でもある。(笑)印象に残った内容をエントリーしておきたい。

首都ナイロビの人口はケニアの8%に該当する370万人(2015年現在)、その6割がナイロビの土地面積のわずか5%に相当するスラムに住んでいる、とのこと。キベラスラムはアフリカ最大規模のスラムである。キベラの歴史は、イギリスの植民地政府の傭兵だったヌビア人(現在のスーダン南部に住んでいた人々)に、恩給としてこの土地を与えたことから始まる。土地面積はおよそ2.2平方キロだが、そこに数十万の住民がいる。(この記述は貴重な情報であると私は思う。)

現在の家賃の相場は1部屋あたり500~1000ケニア・シリング(1ケニア・シリング=1円相当)これに電気代が300シリングつくようだ。ちなみにキベラ周辺のアパートを借りたとすると10倍はするらしい。居住者の収入は日雇い労働で1ヶ月3000シリングに満たない者もいれば、公務員で15000シリングの収入がある者もいる。低所得者ばかりというわけではないが、その割合は高い。

…この論文を読むと、私がケニアを訪れた2003年当時より、だいぶ義務教育の無償化が進んでいるようである。しかし、給食は有償だし印刷経費なども徴収するようで、年間2000~4000シリング、さらに制服代(ケニアではイギリス式で制服がある。制服と言うにはちょっといい加減ではあるが、ネクタイやスカート・ズボンなどの色が指定されている。制服を用意できないために小学校に行けなかった子供の話も聞いた。)の負担が500シリング必要になるらしい。とはいえ、公立の学校の就学者数は大幅に増加したが、教育行政がうまくいかず、教育の質の低下が指摘されているらしい。

そこで、民間(私立)の小規模な小学校がスラム内にあって、経費は1000~8000シリングと高いものの熱意をもった教員(公立の教員の1/3~4の給料なので無資格の者も多いらしいが…。)への期待が高く、こちらに通わせる親も増えているらしい。

この後に続くスラムの子ども達の姿に関しては、例によって新刊なのでここまでにしておく。興味のある方は是非とも「子どもたちのアフリカ」(昭和堂)を購入してください。

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