2017年12月5日火曜日

知立国家イスラエルを読むⅡ

オランダの紙幣となったスピノザ http://www.yoism.org/?q=node/273
「知立国家イスラエル」(米山伸郎/文春文庫)の書評の続編である。第4章にはユダヤ人の優秀性の謎について書かれてある。ユダヤ人が優秀なのはノーベル賞などの人口あたりの獲得数などで実証済みであるが、実に面白い論が載っていた。

ユダヤの律法の体系は膨大であることは周知の事実である。面白いのは、この律法の解釈は極めて自由であることである。ラビは当然いるわけだが、イスラームでは、法学者のみが論議可能なことが、ユダヤ教では一般の信者同士でも論議されるらしい。子供のどんな質問に対しても親は丁寧に答えることを旨としている民族性をもつとのこと。たしかに、内田樹先生のレヴィナス氏に関する本を読んでいて、その議論への執念のようなものを感じたが、ユダヤ人の強さはまさに、この徹底した論議、徹底した真理追究の精神にあるようだ。

ところで、スピノザである。彼がユダヤ系であることは知っていたが、彼の科学的指向が世俗主義をもたらしたという主張があるそうだ。スペインにいたスピノザは現地での宗教弾圧からキリスト教に改宗した。(ウィキの記述ではポルトガル出身で、ユダヤ教徒としてオランダで破門されたとされており、矛盾しているが…。)当然律法を犯したことになるが、スピノザには神からの罰が下らなかったので、ユダヤ人が科学する動きが芽生えたのだという。

なかなか面白い視点である。とにかくも、この自由な議論への徹底した執着こそがユダヤ人の大いなる資質だと言えることは間違いない。

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