2011年2月2日水曜日

サバナ気候の農業開発小論

昨日の「私のPRSP2010その3」に、こんなコメントが入ってきた。『こんにちは!OBです:)笑 私は昨年のゼミ大会で「コンゴ民主共和国:サバナ気候の農地開発」というテーマで発表しましたが、結論を導き出すことは困難でした。結局半ば強引に、アレイ・クロッピングや混作といった既存の農法を組み合わせて結論としました。サバナ気候は降雨パターンだけでなく、土壌そのものが農業に不適なので、ダムなど大規模な開発が必要になりそうですね。何か有効な方法ありますか?笑 』

 この匿名のOB、かなりのアフリカ専門家である。よって、誰だか、私にはすぐ分かった。(笑)嬉しいコメントである。”アレイ・クロッピング”というのは低樹木を作物の間に植えて、土壌浸食を押さえ、土壌化学性(たとえば、サバナでは、酸性の土壌をアルカリ性に変えていくとか)に効果がある可能性がある(まだはっきりしていない。)農法らしい。いやあ、ブログを立てたおかげで勉強になる。と、いうわけで、今日は、JICAの情報を探したり、コツコツとアフリカ農業の本を再読したりしていたのだった。ありがたい話である。

 JICAでは、ブラジルのサバナ地帯で大規模な農場を開発したようだ。その成果を今度モザンビークで実施するらしい。では、どうするのか?以下引用。『技術的には土壌改良です。セラード土壌は、簡単にいえば「栄養分が溶脱した『出がらし土壌』」です。土壌は強酸性で、作物の生育を阻害するアルミニウムの濃度が高いのが問題でした。こうした土壌に石灰を散布して土壌酸度を矯正し、肥料を加えることで土壌改良を図ったわけです。また、大豆、トウモロコシ、小麦といった温帯作物の熱帯性品種を育種したことも成功の要因に挙げられます。』
 アフリカでの開発にあたっては、これも以下引用。『ブラジルのセラード農業開発は、無人の不毛地帯を技術力と資金力で耕地化できるか否かかが主要課題でした。インフラ、近代経営農家、マーケットなど、アグリビジネスの土台は一通りそろっていました。しかし、アフリカは技術・資金面だけでなく、農家の技術レベルや流通面でも課題が残ります。開発から流通に至るまでの資機材、貯蔵施設そして国内市場が不足し、農家もまとまっていません。セラード型サバンナ開発の技術移転はできますが、課題はどうやって地域開発をするかです。組合活動の導入や試験研究・普及活動・融資制度等の行政能力の向上、社会経済インフラの整備など、地域の社会・自然・経済環境に適した「新たな開発モデル」の構築が必要です。』BRICsのブラジルと、アフリカでは、開発の方法がが違うというわけだ。
http://www.jica.go.jp/story/interview/interview_75.html

 この、アフリカの農村開発の方法について述べた本に、二木光氏(JICA専門家)の『アフリカ「貧困と飢餓」削減のシナリオ』がある。これは大分前に、買っておいた本でなかなか面白い。持続可能な農業のための方策が長年の経験をもとに書かれている。①堆厠肥使用等による土壌肥沃度の向上②作付体系の合理化(特に豆類作物の導入)③土壌浸食防止④適正灌漑法の導入⑤稲作の推進(陸稲)などなど(P188参照)
 サバナでは、①に当然土壌にはまず石灰を散布しなければならない。③は、アレイ・クロッピングが有効かもしれない。④はダムというか、私がブルキナで見たため池のようなものでいいと思うけど…あるいは、深い井戸で地下水を利用する方もある。塩害が怖いし、酸性が強くて農業用水にはダメかもしれないが…。⑤陸稲であるネリカ米の生産にまでこぎつけたら、かなりいいと思う。
 と、いうのが今日現在の私の解答である。近々、京大で開催されるアフリカの農業についての講演会に行く予定である。専門家に”正解”を聞いてこようと思う。いやあ、面白かった。”学び”と言うのは、こういうことを言うのではないか。匿名君、ありがとう。(笑)

2 件のコメント:

  1. ご回答ありがとうございます。
    あ、OBではなくOGです。すみません…笑
    なるほど!ラテライトは不可逆性の性質があるので、一旦酸化するとレンガ並みに固くなるそうですね。中和させるためには焼畑をし、熱伝導でアルカリ性物質を浸透させるしかないのですかね…理科が苦手な私にはさっぱりですが、アルカリ性物質(石灰)を散布すると、表面はアルカリ性で、地中深くなるにつれて酸性濃度の高い、アンバランスな土壌になりそうですね。
    ウガンダだったと思いますが、ネリカ米はあまりうまく行っていないという話を聞きました。また詳しく調べてみます!

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  2. 匿名さんの正体がわかった。私は、阪大のM君だと思っていたのだが、K大のO君であった。誤解したコメントを書いていたので訂正したいと思う。M君は、ちなみにスワヒリ語科である。O君のコメントは、その2年上の先輩に匹敵するほどのコメントであったということだ。いやー、まいった。凄い成長である。私自身は、カッコ悪いけど、脱帽!

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