2010年8月28日土曜日

トーゴの世界遺産を考察する

 今朝偶然に、トーゴの世界遺産クタマクをNHKで見ることができた。『世界遺産への招待状』という番組である。特異な住居(タキヤンタ)で文化遺産となっているクタマクは、ブルキナの南側の地域にあたる。ブルキナに多いモシの人たちと分離して現在のトーゴ北部に住み着いたらしい。(この辺は謎だそうだ。)
 少しNHKのWEBから引用させていただく。「彼らの住居タキヤンタは“大きな円筒形の円周部分に小さな円筒形”を配置させた複雑な構造で、他のどこにも見られないものです。円筒が複数あるのは、家畜のための円筒、穀物を保存するための円筒、キッチンや寝室など、生活のいろいろなものを仕切りつつも合体させるための知恵だといいます。また、タキヤンタには先祖の霊が共に暮らすとされ、中を明るくしてはならない、足音をたてないなどしきたりがあります。」

 タキヤンタについて書かれた他の資料を調べると、「タキヤンタは人体の構造を表しているとされ、正面から見ると、入り口は口、窓は眼、石臼は歯、穀倉は胃、外壁の模様は女性が装飾の意味で皮膚に施す傷を模したものです。」などと書かれている。なかなか面白い。後世のキリスト教やイスラム教に染まらず、独自のアニミズムの世界を守っているがゆえに、世界遺産として認定されたようだ。

 番組を見ていて、いくつか気になった部分がある。最初にメインキャラの村人に質問するシーン。彼は、こう答えた。「今食事中なのだが…。」いい。こういう”矜持”がいい。日本のマスコミは何様のつもりであろう。かなり取材交渉も難航したという。何故取材にくるのか?彼らには別に何のメリットもないはずだ。どうも視線が高い。村の女性が即興の歌を歌う。テントで寝起きするTVクルーを猿扱いした歌だ。いい。そういうのがいい。これらのしっぺ返しが、成人の儀式の際に現れる。クタマクの成人の儀式は、大人たちが鞭で撃ち合うのをタキヤンタに潜む新成人に聞かせるものだ。他の部族との争いを想起させることで自覚を促すのである。さて、しっぺ返しである。この村に来た親戚が、神聖な儀式を汚すものとしてTVクルーを襲うのである。車で逃げ出したクルーは、隣村でなんとか儀式を撮影する。要するに、世界遺産のビッグネームも、NHKの大義名分も彼らには全くの無価値であったことだ。実はこの事が私には小気味よかった。

 WHE(世界遺産教育)を私もやっている。何年か前の奈良教育大学での国際理解教育学会(この時私はまだ会員ではなかった。)でその存在を知った。単に世界遺産について学ぶだけでなく、その世界遺産を通して学ぶ、あるいはその世界遺産の在り方を学ぶなど、様々な角度から学ぶのだが、今回のTV番組は、世界遺産という”ビッグネーム自体”を根底から考えさえるものだったと私は勝手に解釈したのだった。ユネスコの世界遺産といっても、所詮欧米の価値観の押しつけなのだろうか。

2 件のコメント:

  1. クタマク、初めて聞きました。

    家の構造、確かにモシに似ていますね。円筒形の家屋の建築はなかなか難しいらしく、モシの家屋は次第に角ばったものになってきています。何度か私のブログにも書きましたが、モスクなどの建築に使われた日干しレンガは球体だったそうです。今でもマリ、ブルキナファソあたりのモスクの一部は球体の日干しレンガを使っているそうです。

    ただ、家屋を人体に象徴させるのは初めて聞きました。勉強不足を晒すようで恥ずかしいですが、モシの家にもそういうのがあるかもしれません。いろんな意味で興味深い記事です。

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  2. どーも。恐縮です。文化人類学の幅は広いですねえ。

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