2010年7月4日日曜日

国際理解教育学会にてⅠ


 さきほど東京聖心女子大学で行われていた日本国際理解教育学会から帰宅した。昨日は、朝の新幹線で東京・広尾まで出て、午後のプログラム、佐藤学東京大学教授の20周年記念基調講演会を聞き、シンポジウムと総会、懇親会に参加した。今日は、午前中私の研究発表があり、他の4名の発表者とともにさらに臨時討論会のような時間も過ごせた。午後からもプログラムがあったのだが、後のことを考えて、JICAの地球ひろばを少し見学してから下阪したというわけだ。<今日の画像は、宮代ホール、佐藤教授の講演前の学生さんたちによるジャズ風スタンド・バイ・ミー演奏の様子>

 印象に残ったことを少し書いておきたい。この日本国理解教育学会は、大学の”教育学”の先生方や院生などの研究者が中心であるが、私たち現場の教師は決してマイノリティ扱いされていない。研究サイドの方々は現場での実践を知りたがっているし、私たち現場も理論を求めている。しかも、”国際理解教育”という分野は実に幅が広い。
 今回の研究発表の分科会に付けられたテーマをつらつら挙げてみる。①ESD②異文化理解教育③多文化共生④国際交流⑤学校における国際理解教育⑥東アジアの国際理解教育⑦平和教育⑧開発教育⑨シティズンシップ教育⑩コミュニケーションだぶっているものもあるし、分類が難しく⑤などは様々な研究をまとめたもののようである。ちなみに私の発表は”開発教育”のカテゴリーになっていた。開発教育とは、途上国の問題を扱う教育という意味の用語で、どちらかというと外務省が使ってきた言い方である。”仮想世界ゲーム”を主催者の先生がそう判断されたのだろう。私としては、現場の教師が胸をはって堂々と実践を語り、批評を受けたり、反論したりすることが、大きな意味を持っていると思うのである。もちろん皆教育に携わる人間なので、その辺は案外ソフトである。そして日本中に人脈も広がる。

 東大の佐藤先生の講演は、大変興味深いものであった。国際理解の日本的特質とは、翻訳的な近代化の中で、植民地化、自己植民地化(欧米化)、逆植民地化というトライアングルの中で作られた歴史的呪縛なのだという話。グローバリゼーションの進展と、近代の教育が国民国家的統合・産業社会形成の人材育成という使命から新しい方向性を模索している状況など、大変勉強になったのである。気さくなお人柄で、日本の教育学界のトップだとは見えないような方だった。(失礼な言い方だが、これは最大級の賛辞である。)

 今日の分科会でも、素晴らしい先生方と出会えた。かなり長くなるので続きは明日にしようと思う。お許しいただきたい。

追記1:D女子大のF先生の元に送りだしたOG(2月6日ブログ参照)が、東京の学会に来ていた。昨年の学会はD女子大学で行われ、そのスタッフだったし、私の研究発表も聞きにきてくれた。”あれから1年やね”と新幹線から思い出したようにメールしたら、なんと聖心女子大構内で今年も合うことが出来た。やっぱり嬉しいものだ。
追記2:N教育大学のT先生にご挨拶を申し上げていたら、どうやらOBが、T先生の授業を受けている可能性が高いことがわかった。これも嬉しい。ESDを学んだOB/OGが教育界に羽ばたく姿を思い浮かべるのである。
追記3:明日書いてもいいのだが、分科会で知り合った長野県の小学校のH先生は、現在Y市立大学で国際関係をやっておられるらしい。ここにもOBがいる(5月9日ブログ参照)。もしかしたら知っているかも…とのこと。なんか我が担任クラスである元3年C組との素晴らしき”人脈の糸”を感じた2日間でもあった。

2 件のコメント:

  1. 生徒さんが、先生の教えてくださったことを少しでも汲み取り、次の分野で学び、活かそうとしてるのは、とても素晴らしいですね。
    先生の授業やホームルームがそれほど、魅力たっぷりな時間だったんだなぁと思います。
    私も、先生の授業やホームルームを受けて見たかったです。

    私は日本語教師の資格課程を履修しているのですが、最近日本に長年いながらにして日本語が話せない人たちへの教育に興味を持っています。
    そんな人たちへの日本語教育に携わって見たいなぁなんて、漠然とした思いがあります。そのためには、どうして日本にそんな人たちがいるのかなんていう、歴史的な勉強もしたいと思っています。
    世界に目を向ければ向けるほど、学びは深く広くなっていきますね。

    きっとお疲れでしょうから、今日は早めにお休みになってくださいね。お体ご自愛ください。

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  2. コメントありがとう。以前日本の識字率の話を聞いたことがあるよ。昔は朝鮮半島から連れてられた1世の方が多かったらしいが、今は農家の嫁として海外から見合いで来られたアシアンの女性が多いと聞くなあ。また、ブラジルの日系移民のUターンなどで日本に来た人も多いはず。今回訪れた広尾というところ、非常に外国人の多いところで、必ず視界に入った。やはり東京は、大阪とは違うなあと思った次第。では、寝ます。(笑)

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