2022年6月16日木曜日

アフリカ希望の大陸2

https://panafricanvisions.com/2014/08/bankrupt-narrative-africa-bright-continent/
ダヨ・オロパデ女史の「アフリカ希望の大陸」をゆっくり読んでいる。第1章で、女史は「開発」という言葉が大嫌いであると述べている。なぜかというと、開発という言葉は、特定の国が何かに向かって「開発」を進めていて、そこに到達する道はひとつしかないということを示唆しているからだ、と。

ところで、この本の中では「太っている国」と「痩せている国」という表現が使われている。開発同様、「南北」という用語も、この世界を理解する手助けにはならないと考えているようだ。次の文章に、この本のポリシーが浮かび上がってくる。

「痩せている」アフリカは、病気(マラリア・HIV/エイズ・出産が死因の上位を占めている)という重荷を筆頭に、それ以外にも様々な問題を抱えている。こうした問題の影には、希望の兆しが多く隠れている。アフリカ人1人ひとりを個別に見てみると、食べ物は無駄にしないし、借金は少ない、地域全体の二酸化炭素排出量は世界でも最低水準である。そして無謀な世界市場からおおむね排除されている故に、アフリカは最悪の金融危機も回避することができた。アフリカのビジネスの多くはより効率的な運営を目指して「痩せている」モデルを実務と財務の両方に適用している。世界が財政のスリム化に向けて着実にベルトを締めていくのであれば、目指すべきは「アフリカ」という印のついたベルト穴だ。

…読み進めていくと、当然ながら厳しい「痩せている」アフリカの現実が数多く記されている。その中で前回記した『カンジュ』の事例が登場する。これらを以後できる限り拾ってエントリーしたいところだ。

…この本は、日本の特派員が見聞きした表面上のアフリカではなく、アフリカにルーツを持つ優秀なジャーナリストがまとめ上げた『開発』経済学の新しい教科書であると私は思っている。

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