2015年11月6日金曜日

勤続35年の「心・技・体」

私は今年、勤続35年らしい。大学入学も現役、教員採用も新卒採用なので、57歳で、というのは最短である。(ちょっと自慢。)

今日は、11月だというのに、気温が25℃もあった。おまけに3年生の教室は、耐震工事に伴う塗装工事が窓側で行われていて、窓を開けないでという指示が事務室から出ていた。教室は密室状態である。まったくもってエライ1日であった。

ちょうど、世界史Bの授業は、WWⅠの東部戦線消滅=ロシア革命へと入るのだが、せっかくなので社会主義入門講座という設定だった。(若い人に聞くと最近は、経済学部でもマル経は不人気だそうだ。だからこそ、教えておきたい。ちなみに私は左翼のヒトではない。ソ連を知らずに育った1997年生まれの今の3年生には、実感としてわかりにくいが故に余計教えておく必要があると思うのだ。)社会主義は、”資本主義のアンチテーゼ”である、ということをまず説明する。資本主義の説明だけで、本来はたいぶかかるのだが、シンプルに金儲けは悪ではないこと、ほんとんどのものが商品(金で買えるモノ)であることを語る。次にアンチ(反)の説明。テーゼは、案外コトバとしては流通している。エヴァンゲリオン様サマである。(笑)もう、これだけで汗が吹き出る。

その後、資本主義の矛盾(貧富の差の拡大・恐慌の発生・寡占)と社会主義の基本的政策(私有財産制の否定・計画経済・生産手段の社会的所有)を面白おかしく説明する。ここでも、一汗。これらの成果は、空想的社会主義の成果であることを述べ、エンゲルスの「空想より科学へ」というパンフのタイトルの説明。マルクスの科学的社会主義について、”科学的”という意味も説明する。ここでも一汗。

いよいよ、最重要の話である。マルクスの剰余価値説である。これまで何度授業で取り上げたことだろう。要するに、金持ちはますます金持ちに、労働者は安い賃金で働かされている、というコトを、ラーメンの材料(G)と商品としてのラーメン(W)をもとに、極めてシンプルに語ると高校生にはわかりやすい。生徒にラーメンの食材は一食いくらくらいになるか「麺はいくらくらい?」「メンマは?」「スープに何いれる?」と聞きながら、黒板で計算する。80円のクラスもあるし、120円のクラスもあった。ラーメンは、一杯600円のクラスも、700円のクラスもある。生徒の中から店長と社長を選ぶ。店長の月給を社長に決めさせるのも盛り上げのコツ。15万円のクラスもあれば、30万円のクラスもある。で、GーWーG’G'-Gを計算する。すると、いかに店長が価値をうみながら、安い給料で働いているかがわかるわけだ。本当は、店の賃貸料やその他の経費がかかるのだが、ここはシンプルにいく。みんな、なるほど、と納得する。私の汗は滝のようである。

さらに、唯物史観。ヘーゲルの弁証法から話を始める。これも様々な例を出して盛り上げる。もうこの辺で、ヘトヘトである。残り15分完全燃焼。(笑)経済が世界を動かしているというのは世界史でやってきたので生徒は納得しやすい。「と、いうわけで、マルクスは、資本主義を科学的に分析したわけだ。」とまとめると、見事にチャイムが鳴る。うーん、ボクサーには3分という体内時計があるというが、勤続35年の私にも50分の体内時計があるわけだ。今日はこんなことを3回繰り返した。

なにか、今年は、今までで一番いい授業をしているような実感がある。しかし、例年以上に体力の消耗が激しい。心・技・体のうち、技は今が一番かもしれないが、体に問題が出ているのだった。

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