2015年5月21日木曜日

日経 戦後70年の世界経済 俯瞰

このブログ、面白い! http://blog.livedoor.jp/barukannnabc60w/archives/cat_566256.html
モーニングで日経を読んでから、今日は近くのローソンで改めて買い求めた。メモするには多すぎるほどの重要な記事があったからだ。国際通貨研究所理事長の行天豊雄氏の経済教室である。タイトルは「戦後70年日本の立ち位置は」その4”将来に希望を持てる国に”というものである。戦後70年を俯瞰した内容なのだが、なかなか良い教材となるはずだ。少し整理しておきたい。

戦後70年の世界経済の歴史は「米国の時代」といってよい。圧倒的な力を持った経済大国として君臨し、ドルは世界の基軸通貨、NYは世界の金融センター、米国企業は競争と革新の象徴だった。この70年で重要な節目が3つあった。

1つは、1970年代初頭のブレトンウッズ通貨体制(金価値を保証されたドル)の崩壊。米国による安定した為替相場制度と米国の膨大な消費需要に支えられた自由貿易体制が崩壊したのだ。この黄金時代は同時に米国の対外赤字という出血を伴うものだったからだ。ニクソンショックで、米国は変動相場制に移行、保護主義に転じた。米国が一国で世界経済を支える時代が終わったのだ。しかし、世界は新しい制度を構築することはできなかった。その理由は、米国がいぜん世界最強の国であり、米国にとって変わろうという意志と能力をもつ国はなかった。ソ連は80年代に自滅、統合を進めた欧州も世界の指導者となることに何の興味も示さなかった。結局、価値保証のない一国の通貨が基軸通貨となるという矛盾をはらみながらドル本位制は続いた。

2つ目は、経済活動における金融と情報の重要性が決定的に高まったことである。その背景は、大規模な国際収支不均衡と世界的な金融緩和で流動性が急増する一方、IT技術の革命的な進歩が金融工学の隆盛をもたらしたことである。歴史的には経済社会の公共財であった金融が所得と雇用を創出する巨大なサービス産業と化して経済社会に君臨することになった。その一方で、金融が実体経済から乖離し、投機化、カジノ化し、金融危機の国際伝染力も著しく高まった。

3つ目は、世界の力のバランスの変化である。中国は世界第二位の経済大国となった。中国は、戦後の世界を支配してきた米国による一極覇権体制を認めない。もちろん米国との差はまだ大きい。1人あたりのGDPは米国の1/7だし、「中所得国の罠」を抜け出せるかもわからないし、国際的に信認される指導国家としてのイデオロギーも持っていない。しかし、米国にとって最初でかつ容易ならざる挑戦者になることは間違いない。

以後、日本の発展がブレトンウッズ体制下の安定した円安と自由貿易、官の統制と民の活力を巧妙に配合した国家資本主義であったとし、これからの課題を説いているのだが、私が重要視するのは、上記の3点の戦後70年の世界経済の俯瞰であるのでここまでで止めておく。

…この俯瞰から、今の日本政府の立ち位置を見ると、日本は、水野和夫氏の「資本主義の終焉と歴史の危機」で告発された、米国が作ったIT化された仮想の金融世界に翻弄されながらも、あくまで米国の覇権(といっては言いすぎか?)の側に立とうともがいているように見えるのだ。私には、それが良いのか悪いのか判断できないが…。

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