2015年5月5日火曜日

毎日 朝刊・国際面の憂鬱

ボルチモアのインナーハーバー http://www.phillipsseafood.com/locations-and-menus/baltimore
毎日の朝刊・国際面に本来なら一つひとつエントリーしたくなるような記事が載っていた。

まずは、イスラエルのテルアビブで、エチオピア系の若者が人種差別に対して数千人の抗議デモを行ったという記事。4月末にエチオピア系の兵士が路上で明確な理由もなく警官の暴行を受けたことが引き金である。「二級市民」のような差別を受けてきたと、不満をもつエチオピア系と治安当局が衝突し、60人以上が負傷、40人以上が逮捕された。ネタニヤフ首相はエチオピア系市民の代表者と会談、暴行を受けた兵士とも面談するという。
…エチオピア系のユダヤ人は、「ソロモン作戦」でイスラエルが脱出させた(12年6月23日付ブログ参照)経過がある。イスラエルは、人種的には極めて多様である(12年8月10日付ブログ「家庭内別居?イスラエルの現実」)が、エチオピア系の人々が「二級市民」的に扱われているらしいことは、実際テルアビブの下町を覗いてみて実感した。対外的に緊張感を常にもつイスラエルが、このような内側の問題を容認することはできまい。ネタニヤフの素早い動きがそれを表していると思う。

次にサウジ空軍が、イエメン北部のフーシへの空爆でクラスター爆弾を使用したようだ。このクラスター爆弾は新型で、(クラスター爆弾禁止条約には不参加だが、それに押されたカタチで開発された)不発弾が1%以下だというアメリカ製。しかし、実際には10%以上の不発弾が見つかったという。(記事では、この辺が詳細に記されていた。)
…問題は、不発弾のパーセンテージではないと思う。先日のイスラム国人質事件の際、イスラム教徒(だけではなく一神教徒全てが)が火に焼かれ、元の肉体を失うカタチで死ぬことがどれだけ宗教的な憎悪を新たに生むかを再認識した。どうあれ、戦争は悲惨である。まして、クラスター爆弾は極めて非人道的な兵器であることは論を待たない。憂鬱な話である。

最後はアメリカの話である。ボルティモアの夜間外出禁止令は解除されたようだ。アフリカ系男性への警官の犯した事件での騒動も、警官6人を訴追で一段落したようだ。
…ボルティモアを初めて訪れた時、ドイツ系、イタリア系など多くの民族で住居地域が分かれていた。アフリカ系の人々の地域には、洗濯物が干されていたりして、一気に雰囲気が変わった。その差に驚いたことを思い出す。経済格差と根深い差別。これは未だにアメリカに巣食う病根である。

さらにテキサスで、「米国の自由防衛構想」というNYに本拠をおく反イスラム団体が、ムハンマドの風刺画コンテストを開催、これにおそらく抗議する2人が会場で発泡し射殺された事件。コンテストには350点以上の応募があり、約200人がイベントに参加したという。
…これも暗澹たる気分にされる事件だ。多文化共生というのは、地球市民の理想だが、現実には極めて厳しい。仏教的に見れば、人間の煩悩、とくに他者に勝ろうとする「修羅」をいかに抑えるかが、今世界に必要だと感じざるを得ない。

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