2012年12月30日日曜日

今年この1冊 2012

大晦日にエントリーするのは、どうかと思うので、二年連続・30日付で恒例の「今年この1冊」をエントリーしたい。
正直、今年はあまり多くの本を読んでいない。通勤時間に熟睡することが多いからだと思う。と、同時に、私の不勉強・認識不足かもしれないが、今年は開発経済学関係の日本語の書籍に、これといったものを見つけれなかったので、「今年この1冊」と問われた時、うーんと唸る1年だったのだ。やはり、私の「今年この1冊」はアフリカの開発経済学にかかわるものでありたいのだ。

文庫や新書で素晴らしい本には今年も何冊か出会った。「岩倉使節団-誇り高き男たちの物語-」(泉三郎/祥伝社黄金文庫/本年9月10日初版)、「日本近代史」(坂野潤治著/ちくま新書・本年3月10日発行)、『トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所』(中田整一著/講談社文庫/本年7月12日第1刷)、『警察庁長官を撃った男』(鹿島圭介著/新潮文庫7月1日発行)、謎の1セント硬貨-真実は細部に宿る in USA-』(向井万紀男著/文春文庫・本年2月15日発行)などである。

最近、私の中では、アフリカの開発経済学の「学び」が、10年近くになって、ひと段落したような感覚がある。一方、アフリカを見る視点としても世界史や現代政治を見る視点としても重要な近代国家論関係の本も、だいぶ読み漁ってきて、目が肥えてきたように思う。

この近代国家論の解体と未来を指摘し、その先見性に唸ったのが、JICA新理事長の田中明彦氏(当時東大副学長)の著書『新しい中世』である。この本、年頭に読んだのだが、妙にずーと心に残っている。そういう意味では私の「今年この1冊」としてふさわしいのかもしれない。もちろん今年発売された本ではないのだが、今年、JICA新理事長となられた故に読んだのだし、私の超個人的な決定なので、まあいいか、ということで、2012年度の1冊は田中JICA理事長の「新しい中世」としたい。

なお、「イスラエル人とは何か」(ドナ・ローゼンタール著・徳間書店2008年9月第1刷)を、本年度の特別賞としたい。この本、イスラエルの多文化共生を理解するのに絶対必須の名著である。

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