2023年12月5日火曜日

アフリカ経済の未来

https://www.kubota.co.jp/kubotapress/life/africanrice.html
「アフリカを学ぶ人のために」のエントリー第4回目 。峯陽一先生の開発経済学の章のさらにつづきである。

アフリカは、21世紀後半に自軸的な人口増加見込まれる世界唯一の地域である。国連の人口統計では、22世紀前半には40億人になり、そこで頭打ちになる。アジアと拮抗すると予想されている。アフリカ市場は、巨大な存在感を示すようになる。GDPの歴史的推計によれば、1000年前では、アフリカ経済が産出していた付加価値は、日本の4倍以上、地域的にもアジアに次ぐ規模だった。現在のアフリカの経済規模は過小に評価される傾向がある。50を超える国ごとに処理すると「弱小国」がランキングの後半にひしめき合うカタチになっているが、ンクルマの夢に従って単一のアフリカ合衆国として集計した場合、インド、ブラジル、韓国、ロシア、メキシコを抜いて世界で10番目の「大国」に位置している。さらに、100年後の国連推計を元に考えると、盛んに生産、消費する青壮年層の人口比率は圧倒的である。

しかしこうした長期的な変化は、アフリカ社会に大きな緊張をもたらすことになる。人口が増加するアフリカ社会は、土地豊富経済から土地希少経済へ構造変化を経験しつつある。フロンティアに囲まれて社会的流動性が大きいアフリカ社会は、土地が世襲制の財産になり、階級の再生産が固定化するアジア型の社会に移行しつつあるのかもしれない。ただし、人口増による資源をめぐる紛争が激化し経済社会が手詰まりになるという「コモンズの悲劇」は、避けられない運命ではない。人口増加は、技術革新の起爆剤にもなりうるからである。ルワンダの人口密度はすでに日本を超えている。アフリカは、多様な生態系の中で多様な生業を生み出してきたが、こうした初期条件の多様性を踏まえ、家族構成や制度、経済構造、価値観は大きく変わっていくだろう。その内実は誰にも予想不可能だが、ダイナミックな変化を遂げるだろうということは疑いない。

…アフリカの未来は、決して暗くはないが、明るくするためにはさらなる在来知の発揮が必要になる。次回は、アフリカ農業の在来知を中心にエントリーしていく予定である。

0 件のコメント:

コメントを投稿