2022年12月17日土曜日

アフリカ地域の「名前」

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「世界の名前」(岩波書店時点編集部編)から、興味深い内容のエントリー、第1回目である。まずは、我がブログのポリシーから、当然ながらアフリカに関係する内容。

エチオピアのハイレ・セラシエ皇帝・は、ソロモン王の末裔とされ、ジャマイカの黒人奴隷の末裔に大変尊敬されていた。皇帝の本名は、ラス=タファリ・マコンネンという。ラスは尊称、タファリが個人名、マコンネンが父親の名である。父親の名前を省略して、ラス=タファリ。ここから「ラスタファリアニズム」の語が生まれた。そう、ジャマイカ、レゲェのボブ・マーリー由来の「ラスタ」である。ブルキナファソで、この「ラスタ」を文化人類学者の荒熊さんに教えてもらったのだった。(右画像参照)

ウガンダ西部のニョロ語の名前は、無文字社会故に、子供が生まれた時の様々な出来事や、親の思いをメッセージとして刻むものである。産気づいたが産科へ行く途中、道で生まれたので「道」とか、バナナ畑で生まれたなら「バナナ」など。夫婦間の葛藤が刻まれた「彼女らは嫌った」(一夫多妻制で、他の妻はみんな逃げていたっがこの子を生んだ妻は残ったの意。)などである。つけられた子供は迷惑だと思うが、アフリカ人は自分の名前は自分とは関係がないことを知っている。これは、京大の梶先生のエッセイ。こういう話を私は2011年7月(16日付ブログ参照)に公開講座で教えていただいた。

かの有名なゾマホン駐日ベナン大使の名前の意味は、「火のない所に煙は立たぬ」だそうだ。ベナンの西、ガーナでは名前で誕生の曜日と嫡出順がわかる。かの初代大統領クワメ・ンクルマは、土曜日で第9子、元国連事務総長のコフィ・アッタ・アナンは、金曜日で双子、第4子である。ガーナやスワヒリ語圏では生後8日目に命名の儀式がある。命名してからだと赤子が死亡した時、悲しみが深くなる故の習慣である。

アフリカーンス語は、オランダ語に近い南アの言語である。オランダ東インド会社(VOC)がバタビアとの中継地としてケープを植民地化したことに由来する。しかしながら、24%がフランス人を祖先にもっており、フランス語的な名も多い。これは、ケープが地中海性気候なのに、ブドウやオリーブの栽培をオランダ人入植者が苦手としていた故である。VOCは、当時、ユグノー戦争とルイ14世によるナントの勅令撤廃でオランダに逃げていたユグノー教徒に目をつけ、特典(土地を与える)付き入植者募集を行った。約180人のユグノーがケープ植民地に来たが、VOCは彼らをオランダ人農民の間に分散させ、学校教育と公文書はオランダ語のみとした。元々少数だったうえに、二世代で家庭内フランス語も消滅、オランダ移民との混血も進み、フランス語風の名前だけが残ったというわけらしい。これは面白い世界史の裏話である。

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