2021年5月15日土曜日

今回のイスラエル情勢 考

https://www.yomiuri.co.jp/world/20210514-OYT1T50101/
イスラエルとパレスチナ自治区がひどいことになっている。日本のマスコミ報道は信用できないので、オリーブ山通信を読んでいる。https://mtolive.net/

細かな事実は、このオリーブ山通信を見ていただくとして、私見を記しておきたいと思う。

まずは、ネタニヤフ政権が安定していないというイスラエルの政権の事情である。この3年間に5回も総選挙を実施し、そのたびに連立政権が瓦解したり組閣中止に追い込まれたりと不安定さを増しているが、ネタニヤフが現在も政権についている。内政が厳しいとき、外敵をつくりそっちに目を向けさせるというのは、まさに常套手段である。

まして、イスラエルは、ユダヤ人国家というものの、国内にパレスチナ=アラブ人や、キリスト教徒のアラブ人が住んでいるし、さらにユダヤ人の中でも、超正統派、正統派、世俗派、さらにはユダヤ人認定されているものの豚も食べるロシア系移民、ユダヤ人認定されていながら差別的な扱いを受けているエチオピア系移民もいる。この状況を、「家庭内離婚」と評した専門書もあった。私も、実際に足を踏み入れた経験からも、それを感じざるを得ない。普段は、互いに無視しあっている感じなのだ。一度何かあれば各集団に分裂し対立関係になる。

ガザは、そもそも第一次中東戦争時にエジプトが占領したわずかな地域である。いわゆるパレスチナ難民の居住区で劣悪な住居環境、経済環境にある。イスラム復古主義のハマス(彼らはシーア派である)がガザを支配して、現在はシーア派のイランの支援を受けている。今回のロケット弾攻撃もスンニー派のサウジや湾岸諸国がイスラエル寄りになっている現状で「敵の敵は味方」状態となっている。冷静に考えて、彼らを空爆の被害を予想しながらもロケット弾を打ちまくという事態に追い込んでいるのは、イスラエルであり、国際社会であると私は思う。

私は、イスラエルの味方でも、パレスチナ人の味方でも、ハマスの味方でもない。マレーシアの穏健なムスリムである教え子たちは、口をそろえてイスラエルを非難していたが、同時にシーア派にも否定的だった。彼らのスタンスは、よくわかる気がする。だが…。

今回の衝突は、複雑に拡大してくような予感がある。イスラエル対ガザ、ここにイランやシリアの戦争に拡大し、アメリカやロシア、中国が絡めば世界的な衝突に発展する可能性があることを否定できないのだ。

以前、エントリーしたがユダヤの預言書に北からの攻撃による最終戦争という記述があるからだ。この北の国は、どうもイランを指しているいようだ。アメリカは、今のところ戦争を避けるトランプ政権ではなくなっている。とはいえ、何もかもが不透明だ。中国はイランとのつながりが強い。ロシアはシリアのバックにいるが、どう動くかわからない。ヨーロッパと日本、オーストラリア、インドなどは、西側として動くだろうが、先行きは見えない。スンニー派の湾岸諸国も、反イランで西側に与する可能性が高い。コロナ禍の中で、第三次世界大戦が起こるなどと、考えたくはないが、それを否定できない国際情勢があるのだ。

トランプ政権という後ろ盾を失ったネタニヤフは、その危険性を知りながら、ユダヤの預言書を実現する気でいるのかもしれない。

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