2017年8月8日火曜日

IBTの話(115)ODANGO

http://www.oisca.org/support/
more/oisca/magazine/pdf/1411-3.pdf
総合科目のテキストを常に補足するプリントをつくりながら授業を進めているのだが、時にはテキストの内容に異議を唱えることもある。「南北問題」については、一応詳しいので、私はちょっとうるさい。日本のODAの問題として、贈与より貸与が多いとか、日本のODAはインフラに偏っていて、病院や学校などへの協力が少ないとか書いてある。

日本のODAが、あまり贈与しないのは、国際協力に依存する途上国政府が多い故である。基本的に日本の姿勢は正しいと思う。贈与に関しては、「人間の安全保障」の観点から災害などの場合は、たしかに贈与すべきだと思うが、学生にこんな質問をしてみた。たとえば、飢餓に苦しんでいる地域があったとして、食糧をどーんと無償で配布したとしたら、経済学的にどうなるか?。無償の食糧が一気に供給されると、穀物の価格が急激に下落し、それが原因で周辺の地域に飢餓が広がることもあるのである。こういうことは、やはり多少専門的に開発経済学をやらないとわからないことで、必ずしも無償=善ではないということを教えた。

また、日本のODAが病院や学校への協力が少ないというのは、ひとつには、学校をいくら建てても、絶対的教員数や教科書が足りないこと、病院も同様で、こういう地域に於ける細かな協力は日本のNGOとJICAが協力して推進していく方がうまくいくのである。これがODANGO(オダンゴ)である。日本の国際協力は歴史があるし、多くの先達の努力と知恵が活かされていることを知るべきだと私は思うのである。

テキストは絶対的ではない。そんなことを学生に話していたのだった。

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