2017年8月20日日曜日

「マレーシア新時代」を読む。

この本も、日本人会の無人古本コーナーで購入した。比較的新しい新書なので、少し高くてRM1ではなかったはずだ。(と言ってもRM2か3)「マレーシア新時代ー高所得国入りー」(三木敏夫/創成社、2015年5月第三版発行)である。昨日2冊の本の書評を書いたので、続けてエントリーしようと思う。

マレーシア理解のために、この1年間多くの書籍に触れてきたが、この新書もなかなか面白くためになった。ただし、マレーシアの基礎的な歴史や経済構造などを知った上でないとちょっと解りづらいと思う。そういう意味では私にとってはタイムリーなマレーシア本だった。著者はジェトロでマレーシアに関わった経済人である。

この本は、あくまでもマレー系人々のスタンスから書かれているように強く感じた。ブミプトラ政策に関しても、対英国への真の独立のための政策である、在マレーシア企業の30%のブミプトラの資本参加も肯定的に書かれてある。その是非に私は異議を唱えるものではないが、と、中国系・インド系のマレーシア人からの視点についてはあまり書かれていない。これが私の第一印象である。

一方で、マレー系の弱いところも着いている。朝出勤するとムシュアラ(会議)と称してのお茶の習慣があり、政府関係者とアポイントメントがつきにくいとか、民間部門でもマレー系のビジネスマンは冷房の効いた事務所の個室でサインすることを好み、製造現場に直接携わるのは卑しい者がすることだと考えているなどの批判も書かれている。ここでも、中国系・インド系の弱点についてはふれられていない。

マレーシア国内の経済格差(ジニ係数が0.441/2009年)が大きいまま高止まりしていること、外国人労働者と先進国入りへのジレンマ、サラワク州と半島部の軋轢など、マレーシアの抱える様々な問題提起があった。これらの問題については、私自身じっくりと考えながら改めてエントリーしたいと思う。

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