2015年12月7日月曜日

日経 ジェフリー・サックスの意見

http://millenniumpromise.jp/blog-archives/page/6
日経の朝刊に、コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏の「中東の混乱、欧米に責任」という意見(グローバル・オピニオン)が載っていた。世界的な開発経済学者である氏の意見は、極めて直載的であった。

氏は、民間人に対するテロ攻撃は人道に対する犯罪である、ISは何としても阻止しなければならない。と大前提を述べたあとで、このISの勢力拡大は欧米、特に米国に大きな責任がある。テロのリスク低下のために、欧米が中東政策を変更するしかないと述べている。

1970年以降CIAは旧ソ連をアフガニスタンから追放するため多国籍のイスラム・スンニ派戦闘部隊「ムジャヒディン」を組織した。この時の戦闘部隊とそのイデオロギーが、今でもISを含むスンニ派の過激武装勢力の基礎になっているからだ。さらに、リビアのカダフィ政権の打倒、エジプトの(アラブの春後、選挙で選ばれた)ムスリム同胞団の政府を追放、さらにシリア内戦と、こうした作戦が中東の安定を破壊したと言わねばならない。

氏の中東政策提言。第1ステップはオバマ大統領がCIAの中東での策動を中止させること。第2は、国連の安保理常任理事国が、内輪もめをやめシリア和平の枠組みを確立させること。反アサド勢力による闘争の即刻停止と停戦、米国ではなく国連が主導するシリアの政権移行と暴力によらない政治の再建。第3は、持続可能な開発。中東においては、戦争だけでなく、淡水不足、砂漠化、若者の高い失業率、劣悪な教育システムなど深刻化する開発の失敗に再挑戦するべきだ。

…ジェフリー・サックス氏の「貧困の終焉」を読んで久しい。アメリカの開発経済学者らしいプラグマティックな楽天主義で、2025年までに貧困を撲滅するための様々な方途を示した本である。若干リアリティにかける内容も多いように感じたのだが、言っていることは正しい。私の氏への感想は、今回も変わらない。共和党の大統領選を戦っているトランプ氏が聞いたら、売国奴と罵るかも知れない意見だが、反知性的政治が世界を覆う中、世界市民の代表として、言ってくれたよなあ、と私は感じるのだ。

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