2015年12月11日金曜日

出張で「松鶴」と「米朝」

吉村氏の著作
おもしろそうな内容だ
久しぶりに、人権主担として出張に行ってきた。大阪市立高校教職員人権教育研修会である。人権関係の出張依頼はどんどん来る。これまで、後輩の先生方にできるだけ行ってもらってきたのだが、さすがに本年度最終の研修会くらいは顔を出さないといけない、と思ったわけだ。今日は、大阪市立大学の特別研究員の吉村智博氏の講演であった。お題は「近代大阪100年史における人権問題~部落と在日外国人~」であった。

15:30開始で、17:00が終了予定である。最初に挨拶があったりするので、事実上1時間強で、大阪における部落問題と在日韓国・朝鮮人問題を語れというのは、さすがに厳しい条件だ。吉村氏は、都市問題の歴史と部落問題の専門家故、こちらに絞って頂いた方が良かったのではないか、と私は思っている。実際、吉村氏も、かなり大変だったようだ。喋らねばと思うことがいっぱいあるのに、簡素に語らねばならないのは極めて苦痛である。私も世界史Bでそういう”しんどさ”を日常的に味わっている。

ところで、今日の講演で、吉村氏は意外な枕をふってこられた。六代目笑福亭松鶴の「らくだ」の落ちは、「ヒヤでいいからもう一杯。」だそうだ。このヒヤは火屋(火葬場)と冷酒をかけたもので、江戸時代に形成された大阪のインナーシティに、被差別民の仕事場が形成されたことを教えていただいた。また、初代桂米朝の「代書屋」の話も出てきて、当時大阪にきていた韓国・朝鮮の人々の渡航証明書を代書する部分を聞かせていただいた。彼らの言い回しを決して揶揄したりするわけではなく、淡々と写実的に語る人間国宝。ここの部分が後の韓国・朝鮮人問題における「法的な問題」の話に結びつくわけだ。

なかなか勉強になったのだが、できれば2回に分けて講演していただきたかったと思う次第。誠に申し訳ないと、主催者でもないのに謝りたい気分だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿