2014年12月14日日曜日

世界史B期末考査の追加問題

世界史Bの期末考査のことを書きたい。本校の生徒は、ほぼ中くらいの学力である。伸ばせば伸ばせれるのに、思考力を伸ばすことより、丸暗記を要求する授業が多いのが実情だ。定期考査の監督をしているとよくわかる。もちろん、社会科だから暗記抜きでは語れないが、やはり私は思考を要求したい。だから、試験前に学習し、提出するプリントには、解答を出さない。生徒は、まずこのプリントを完成させるのが大変だとよく言う。試験前に質問にくる生徒は多い。

ところで、今回の期末考査が、事実上の最後の試験であった。範囲はWWⅡ以降の現代史である。語るべきことは莫大にあるが、以前(11月14日付ブログ参照)エントリーしたように、二極化・多極化の話の後、イラン革命以後のイスラム復刻主義と欧米社会の対立の構図を構造的暴力として締めくくった。

試験を印刷した後だったのだが、ベルギーのブリュッセルで行われた「イスラム国への有志連合」(12月4日のブログ参照)の報道を受けて、急遽追加の問題を解答用紙に作成し刷り直した。およその有志連合の状況を記した後、この記事から読み取れる内容を汲み取るという問題だ。全てを記述にすると、おそらく何も書けないだろうから、以下のような文をつくり、空欄にあてはまる適語を求めた。

アメリカは、イラク・シリアのイスラム国に空爆を行っているが、(    )のPKO以来、(     )を恐れているから、地上戦を行っていない。

アラブ連盟(アラブ人の諸国の国際組織)が有志連合に参加しているのは、イスラム国の(    )を認めていないということである。

ドイツが、クルド人支援にあたっているのは、クルド人が多く複雑な事情を抱えている(     )とのつながりが強いからだと思われる。

残念ながら、正解率は低かった。世界史Bを学ぶ意味は、このような報道をこれまでの歴史から分析する材料を得ることだと私は思うのだ。ちなみに、正解は、最初の文は、ソマリア、アメリカのママもしくは国益に繋がらない兵士の死、世論でも正解。次の文は、国語的には独立で十分だが不正解。主語がアラブ連盟なので、ここはカリフと書いて欲しいところ。これらは授業で話してある。最後の文には、トルコが正解。WWⅠの3B政策を念頭において解答して欲しいところだ。

生徒には、最後の試験だったから、と追加問題の解説とともに、考える世界史の学習の意味を話した。グライダーではなく、プロペラとエンジンのついた飛行機たれ。自分で考える存在たれ。

次の授業から、ESDのアクティビティに入る。今日の画像はその導入に使うケニア民族カード。これを使って、挨拶をしながらグループ分けを行うのだ。思考力をのばす社会科を最後まで追及したいと私は改めて思っている。

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