2014年7月28日月曜日

毎日 WWⅠ墺軍のユダヤ人

ウィーンのユダヤ博物館
毎日新聞に、第一次世界大戦100年ということで興味深い記事が載っていた。オーストリア・ハンガリー帝国に住んでいた30万人ものユダヤ人が、多民族国家の一員として軍に参加したという話だ。現在、ウィーンのユダヤ博物館で特別展が開かれているのだという。

当時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、反ユダヤ主義を掲げたウィーン市長の就任を拒否するなど公平な態度をとっていた。ユダヤ人が進んで帝国軍に身を投じたのは、皇帝への強い忠誠心からだったという。

皮肉にも、オーストリア出身のヒトラーによって、オーストリアが併合されホロコーストが始まるわけだ。企画を手がけた学芸員は、「勇敢な戦歴も全てを破壊したナチスの前では幻のようなものだった。」と語る。

ちょうど、今日は一日中、世界史Bの教材研究に勤しんでいた。いかにしてナチスが政権を握り、どのような政策を行ったのか。そういう内容だ。これを理解するためには、WWⅠの終わり方が重要だ。キール軍港に始まるドイツ革命によって、ドイツと言う国自体が崩壊したのだ。ボクシングで言えば、急にタオルを投げられたようなものである。その後、かのケインズも会議の席を立ったという、天文学的な賠償金。総力戦の決済を英仏は全てドイツに押し付けたわけだ。結局、そのマネーはアメリカの金融資本へと流れていくのだが、ドイツ国民のハイパーインフレの苦労は並大抵ではなかった。

ヒトラーが主張したロジックは、ドイツ国民の誇りを取り戻すナショナリズムそのものだった。アーリア人優位説。ドイツ民族は偉大だと声高に叫ぶわけだ。そのために、伝統的な反ユダヤ主義を持ち出す。WWⅠに負けたのはなぜか?ドイツ革命のためである。ドイツ革命を起こしたのはユダヤ人社会主義者だ、とくる。たしかにマルクスも、ロシアの赤軍の父トロツキーもユダヤ人であるし、ユダヤ人の社会主義者は多かったのは事実であるが、誇張である。さらにハイパーインフレを起こし儲けているのはユダヤ資本だとくる。これも伝統的にユダヤ金融資本の雄ロスチャイルドはフランクフルトから出ているし、金融資本家にユダヤ人が多かったのも事実。だが、それも誇張である。ただ、失意にあったドイツ中産階級には有効なデマゴーグであったわけだ。ユダヤ人を排斥し、優秀なドイツ人による第三帝国を打ち立てようというスローガンは、うまいプロパガンダで支持を増やしていく。そして水晶の夜以降のユダヤ人への大迫害・大虐殺。この辺、マニアックにやっていくといくら時間があっても足りないくらいだ。

ユダヤ人が30万人もWWⅠでドイツの同盟であったオーストリア軍に参加していたというのは驚きだ。だが、ホント、世界史的にも「幻」のような史実であると私も思う。

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