2014年7月4日金曜日

毎日 京大総長に山極寿一先生

山極寿一先生 http://sunyama.soreccha.jp/d2009-10.html
「アフリカ社会を学ぶ人のために」(松田素二編・世界思想社)を読んでいる。今日は、松田先生の序論についてエントリーしようと思っていたのだが、大二ユースが毎日新聞の朝刊に載っていた。山極寿一先生が京大の次期総長になられるとのこと。

山極先生の公開講座を以前聞かせていただいたことがある。アフリカの類人猿の話である。(13年4月13日付ブログ参照)無茶苦茶面白い講座だった。

この「アフリカ社会を学ぶ人のために」にも、山極先生が「ゴリラ・ツーリズム」というコラムを寄せておられる。総長就任を記念して、そのコラムを紹介したいと思うのだ。以下コラムの概要。

「じつは、アフリカのゴリラ・ツアーのルーツは日本にある。」という文章でコラムが始まる。1950年代の半ばから、日本の猿の餌付けをまねてみた。しかし、ゴリラは決して人間の餌に手を出さなかった。成果をあげたのは餌を用いずに接近する人付けだった。その後、日本の固体鑑別法を導入、全てのゴリラに名前をつけ観察を開始し、ゴリラの食物と遊動域の実態が明らかになり、チンパンジーと共通な特徴をもつ社会であることが明らかにされた。

ルワンダ政府のゴリラを観光化する試みは、参加者や行動をコントロールしながら成功を収めていく。地元にも雇用を生む。ルワンダ内戦後、カガメは観光立国をめざし、年間7万人のツアー客(1日1時間、ゴリラの群れに8人のグループで1人$750の費用をとる)が訪れ、活況を呈している。

しかし、人の訪問が増えてインフルエンザや肝炎に感染したり、ストレスが増えたりするゴリラが出ている。また観光収入の5%が地元の発展のために使われているが、その配分をめぐってトラブルもある。ルワンダのゴリラーツアーをモデルにアフリカ各地で同様のツアーが開始されている現在、このツアー政策のゆくえは大きな注目を集めている。

…日本とルワンダのゴリラ・ツーリズムの意外な関わり。実に面白い。こういうことを研究されている方が京大の総長になるわけだ。実に素晴らしいことではないか、と思う次第。

0 件のコメント:

コメントを投稿